ホリエモンの本を読んでいると面白い記載があった。
「飲食店は営業日数を減らしたほうがいい」
むしろ営業日数を減らしたほうがいいのかなって思いますけどね。
最近は、週に半分だったり、年に半分だったりしか営業しない飲食店が増えているのだという。
営業日が少ない分、客単価を上げて利益を出している。
僕が理想だなと思うスタイルは、岡山の住宅地の中にある寿司「ひさ田」。金、土、日の3日間しか営業していないんです。
あと六本木のフグ料理「浜藤」の大将の働き方もいいと思いますね。客単価5万円くらいの店で、天然フグの季節にしか営業しない。あとの半年は世界中食べ歩きをしている。
そして休みの間にしっかりとインプットすることによって、より良いアウトプットができ、好循環を生む。
しっかりと休んで、その時間でほかの店に行ったほうがいろんなアイデアが得られてよさそうですね。
今回はこの本から仕事のスタイルについて考えてみたい。
FIREの危険性
ベストセラーの「LIFE SHIFT」を読むと、今後人間の寿命が100歳まで伸びる可能性があるそうだ。
そうなると今までのような「60歳まで必死で働いて、残りの余生はゆっくり過ごす」というキャリアは崩壊。
多くの人が80歳までは働く必要に迫られる。
でも一生仕事を続けるなんてまっぴらだ。
そんな中で登場したのが「FIRE」という生き方である。
FIREは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の頭文字。
節約と貯蓄で投資元本を蓄財して早期リタイア。その後は投資の運用益で生活する。
一見魅力的な生き方だが、勝間和代氏はFIREの危険性を指摘している。
勝間氏によると、引退して不労所得のみで生活していると、魅力がない人間になってしまうことが多いのだという。
不労所得ばかり得るような生活になると、びっくりするくらい勉強意欲も衰えます。そういう人の話題といえば、旅行とゴルフ、食事くらいになってしまいます。
一方、仕事を続けている人は生き生きしていて、若い人とも交流している。
それでは豊かな社会的つながりを保つにはどうしたらよいか。その最良の方法のひとつは、私は仕事だと思っています。
定年後の年齢になっても仕事を続けていられる人は、みんな生き生きしていますし、人間付き合いも若い人と積極的に交流をしている人が多いものです。
つまりFIREを達成して仕事を辞めてしまうのは、必ずしも幸福ではないということである。
早く仕事をやめて楽になりたいと思っている人は多いでしょう。しかし、それが本当に自分にとって幸せなことなのか、もう一度、考え直してほしいのです。
そもそも仕事を辞めたい人が多いのは、組織の中でサラリーマンとして働いているからなのだという。
早期退職したいという声がいまも多いのはなぜかというと、一定の枠組みのなかで、他人のために働かなければいけないという構造が依然としてあるからでしょう。
むしろ一生続けられそうな仕事形態を模索することが重要である。
どのような仕事形態であれば、一生、仕事をしていくことができるか、ということを人生の最重要テーマとして設定してもらいたいのです。
プチ引退
社会派ブロガーのちきりん氏は著書でこのように語っている。
定年まで無思考に今の働き方を続けるのではなく、まだこれからという40代のタイミングで次の働き方を設計するのがよいのではないか、と。
大事なことは、どんどん延びる定年まで無思考に今の働き方を続けるのではなく、まだこれからという40代のタイミングで、自分の意志をもって次の働き方を設計することです。
ちきりんは、状況にあわせて調整しながら、無理なくゆっくり、そして長く働き続けるのが自然と述べている。
まだ働き盛りの40代の間に自分のスタイルの働き方に移行し、定年などという区切りを設けず、状況にあわせて調整しながら、無理なくゆっくり、そして長く働き続けるほうが、自然ではないでしょうか。
彼女が提示する仕事のスタイルの一つはプチ引退。
少しゆっくりしてみて、退屈だと感じたならまた働き始めればいいし、時々働き、時々働かない。
少しゆっくりしてみて、退屈だと感じたならまた働き始めればいいし、時々働き、時々働かないというのもアリです。
そんなプチ引退にもいつくかのパターンがある。
- 半年だけ働く「シーズン引退」
- 週に2、3日だけ働く「ハーフ引退」
- 好きな仕事だけを引き受ける「わがまま引退」
- 夫婦で交互に1年ずつ引退する「交代引退」
ホリエモンが推奨する営業時間を減らす試みは、このプチ引退に当たると考えてよいだろう。
客を選ぶ
冒頭で紹介した週3日間しか営業しない寿司屋「ひさ田」。
この店も当初は週6日営業する単価5000円の普通の鮨屋だったそうだ。
膨大な仕事量に忙殺される毎日。
そこで、あるとき客単価を1万円に引き上げる。
それによって客数は激減。
しかし時間にゆとりができたことで、鮨そのものを研究する時間ができ、食通の間で話題に上がるようになる。
そしてさまざまな工夫を凝らした結果、途絶えかけた客足が戻り始める。
さらに客単価を2万円にまで上げ、営業日数も減らしていった。
オフの4日間は自宅のある福岡でいろいろなインプットをして、さまざまなつながりをつくる。
それを活かして3日間に徹底的に集中して、いい状態で仕事に向かう。
客を減らし営業時間を短くすることで、時間的な余裕も、精神的な余裕もでき、利益も上がる。
そんな好循環を生むことができたのである。
さらに単価を上げることのメリットはもう一つあるのだという。
それは客層が良くなり、インターネット上の批判的な書き込みがなくなったこと。
本当にいいお客さんというのは、ひどい書き込みなんてしない。
最近、客を選べない仕事が不人気になってきているという。
変な客の多い職場では働きたくない、と。
「まともな人としか働かなくていい」ことが今後職業を選ぶ際に重要になってくるそうだ。
そこで重要になってくるのが「客を選ぶ」という観点である。
営業時間を減らす試みは、クレーマーに悩ませられがちな客商売の一つの完成形であるといえるだろう。
まとめ
我々にとってサラリーマン以外の働き方といったらクリニック開業を思い浮かべる。
しかしクリニック開業が一生続けられそうな仕事形態かというと疑問が残る。
労働集約型の仕事形態なので事業をスケールできないこと。
そして保険点数は一律で客を選べないことが問題である。
(高単価の自由診療という選択肢はあるが)
この辺りを考えると、いつでも撤退可能な軽装開業に魅力を感じるところである。
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