以前おすすめのサスペンス映画、ホラー映画を紹介した。
今回は邦画に限定して、自分の好きな5作品を紹介したい。
①ジョゼと虎と魚たち(2003年)
足が不自由な少女・ジョゼとチャラい大学生・恒夫の交流を描く恋愛映画。
この映画の特徴は、障害を乗り越え真実の愛を手に入れる……のようなストーリーではないこと。
妻夫木聡が演じる恒夫は軽薄な大学生。
彼は本能の赴くままにジョゼにちょっかいを出するものの、様々な重圧に耐えかねて元カノとよりを戻す。
障害を必要以上に美化することなく淡々と描かれる現実。
そして障害に対する偏見や差別意識。
恒夫の元カノ香苗(上野樹里)は障害者福祉に熱心で、大学で福祉を専攻するリベラルな女性。
ところがジョゼに彼氏を取られ、「障害者のくせに私の彼氏を奪うなんて…」と心の中に隠された差別感情を露にする。
しかし必要以上に暗い話ではなく、恋愛を通したジョゼの成長が描かれ爽やかなラストを迎える。
またアニメ版と見比べてみるのもオススメ。
美しい水槽の映像が印象的なアニメ版の水族館シーン。
しかし実写版では水族館は閉館日。代わりにラブホテル「お魚の館」で一夜を過ごす。
こういうシュールさも魅力の映画である。
②それでもボクはやってない(2007年)
痴漢冤罪事件を題材に司法の問題点を描く社会派映画…なのだが、非常に観やすいのが特徴。
一般的にこういう社会派映画は起伏が乏しく、途中で飽きてしまいがち。
この映画も演出は地味で物語は淡々と進む。
それでも面白くて途中で飽きないのは、「自分の身にも起こりうる」という身近さからだろう。
そして設定、脚本も素晴らしい。
普通であれば家族愛を脚本に入れたくなりそうだが、主人公をあえて独身のフリーターにしたことでシンプルな物語になっている。
それによってテーマがダイレクトに伝わってくるのである。
とてもよくできた映画だと思う。
③さんかく(2010年)
中学生に恋をした中年男性(30歳)が、ストーカー化した元カノに付きまとわれる話。
なかなか濃い設定で、キューブリックの「ロリータ」の日本版と言ってもよいだろう。
好きだった先輩に振られた腹いせに、中年男を誘惑する中学生女子。
そんな中学生の目論見にまんまとハマってしまうオッサンのみっともなさ、情けなさ、痛さがこれでもかというくらい丁寧に描かれている。
特に男子中学生にケンカを売って返り討ちにあうシーンは涙なしでは観られない。
中年になるとこういうのにグッとくるようになる。
④冷たい熱帯魚(2011年)
色々話題の園子温監督の作品。過激さがウリのホラー映画である。
とにかく殺人鬼役のでんでんが凄い。
人のよさそうなオッサンが笑顔で死体をバラバラにする。
これはレクター博士やジグソウに匹敵するような悪役だと思う。
しかし自分にとって、この映画の魅力は別なところにある。
主人公である社本の情けないオッサンっぷり。
気が弱く娘に何も言えない。それだけなら普通の情けないオッサンである。
しかし性欲は人一倍あって、若くて巨乳(で頭が悪い)の女と再婚している…というのがダメさ加減に拍車をかけている。
愛すべき情けないオッサンに注目しながら観るのがオススメ。
⑤桐島部活辞めるってよ(2012年)
これぞ陰キャのための映画。暗い高校時代を過ごした人は必見である。
原作小説の主人公は、リア充ながら満たされなさを感じている菊池。
1軍男子のリーダーである桐島が部活を辞めたことで、彼らが右往左往するのが原作のストーリー。
しかし映画では、原作で脇役だった2軍男子の前田が主人公に変更されている。
その前田の描かれ方がリアル。
クラスの女子生徒からは人間扱いされず、体育の授業では情けない姿を晒すばかり。
桐島が部活を辞めたことなんて、彼らの日常にはまったく関係ないのである。
そしてラストは陰キャたちが陽キャに反乱を起こす。
陰キャ男子にとって、このカタルシスは必見。
まとめ
今回は自分の好きな邦画を5作品紹介した。
クセのある映画ばかりだが、一度観てみて欲しい。
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