「ハゲにつける薬はない」というのを聞いたことがあるが、今の時代は「ハゲに効く飲み薬」がある。
プロペシア(フィナステリド)とザガーロ(デュタステリド)という男性の薄毛治療薬だ。
男性型脱毛症の治療について日本皮膚科学会からガイドラインが出ている。
脱毛症診療ガイドラインの推奨度
A:内服(プロペシア、ザガーロ)、外用(リアップ)
B:アデノシン、低出力レーザー、自家植毛
推奨度が高いのは内服薬のプロペシア、ザガーロと外用薬のリアップである。
特に内服薬の効果が高い。
ではプロペシアとザガーロどちらがよいのか、効果、薬価、副作用を比較してみる。
プロペシアとザガーロの比較
①プロペシアとザガーロの効果
プロペシアとザガーロの効果を調べた研究では、両方ともに発毛効果を認めている。
毛髪数の変化量(半年)
偽薬 | -4.9本 |
プロペシア | +56.5本 |
ザガーロ | +89.6本 |
(J Am Acad Dermatol. 2014;70(3):489)
両者を比較するとザガーロの方が毛髪の増量効果が高いようだ。
②プロペシアとザガーロの薬価
次に価格について比較してみる。
1か月分の価格(だいたい)
プロペシア | 7000円 |
プロペシア(ジェネリック) | 5000円 |
ザガーロ | 10000円 |
ザガーロの薬価が一番高く月1万円。一番安いのはプロペシアのジェネリックで半額くらい。
薬をやめたら元に戻ってしまうので、効果の維持のためには飲み続ける必要がある。
経済力に応じてどちらを購入するか決めたらいいと思う。
③プロペシアとザガーロの性欲減退
副作用として有名なのは性欲減退である。
これに関して面白いデータがある。
「性欲減退が起こる可能性」を説明された人とされなかった人を比較した研究。
性欲減退の発生率
- 副作用を説明されなかった人⇒7.7%
- 副作用を説明された人⇒23.6%
J Sex Med. 2007;4(6):1708-12.
説明を受けていない人の性欲減退は7.7%だが、説明を受けた人の性欲減退率は3倍に跳ね上がっている。
「性欲減退するかも」と言われただけで、本当に減退してしまう人が多い。
要するに性欲は精神的な要因が大きいということである。
これをノセボ効果という(プラセボの逆)。男の性欲は意外とデリケートである。
ちょっとしたことでダメになってしまうというのは自分も経験があるわけで。
ハゲに効く薬の選び方
結局どの薬がいいのかをまとめる。
安さならプロペシアのジェネリック。効果ならザガーロを選ぶのがよさそうである。
- 安さ⇒プロペシア(ジェネリック)
- 効果⇒ザガーロ
性欲減退に関してはあまり気にしなくてもよいのではないか。
こういう知識を得られるのが皮膚科医の一番のメリットだと思う。
育毛剤はどれがよいのかについては別の記事で解説する予定。
つづく
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