皮膚科医を目指す人、皮膚科初心者へ。
皮膚科の勉強をしようと思って教科書を読むと、まず「原発疹」、「続発疹」の説明から始まる。
これがとっつきにくくて面白くないし、初心者にとってはあまり役に立たないような気がする。
そこで「原発疹」、「続発疹」から入らない勉強法がないかと考えた。
今回は系統立った皮膚病変のみかたについて解説する。
やっぱり病理は大事
皮膚科の診断力を鍛えるためには病理を勉強するのがよいとされている。
臨床眼を養うには、目の前にある皮疹を皮膚病理組織学的理解でもって診ることであると言われます。
逆に、病理組織像から臨床像を想像するという訓練も皮疹を診る目を培うのに重要です。
(鳥取大学皮膚科のHPより)
皮疹を見たときに、どういう病理変化が起こっているのかを推測することで、診断がつくし病態や原因まで把握することができる。
逆に病理組織を見るときに「その変化からどういう皮疹がでるのか」を想像することが、トレーニングになる。
皮疹⇔病理
臨床像と病理組織像を対応させて考えることを続けていけば、皮膚科の診断力をアップさせることができる。
具体的な皮疹のみかた
では具体的にどう皮疹をみるのかについて。
皮疹の形態から病変の深さを判断することができる。
初心者のための炎症性皮膚疾患の見方のコツ
皮膚病変を診断するためには順序立った形態把握が必要となる。
それには、まず皮膚病変の深さを知ることから始める。つまり表皮、真皮、皮下脂肪組織のどこに病変があるかということである。
(皮膚科診療のコツと落とし穴3(中山書店))
【皮疹の原則】
- 表皮に病変がある場合には「ざらざら感」がある。
- 真皮に病変がある場合には「紅斑」となる。
- 皮下脂肪組織に病変がある場合は「しこり」となる。
これらの組み合わせで診断する。
表皮+真皮
いちばん多い病変は「ざらざらしていて赤い」=「表皮+真皮」のパターン。
(皮膚病アトラスより)
このパターンだとまず湿疹を考える。(ほかに乾癬、扁平苔癬、白癬など)
真皮のみ
「紅班だけ」=「真皮」というパターンもよく見かける。表皮の変化はなく表面はツルツル。
これを見たらまず薬疹を考えて、薬歴を確認する。
でもこの真皮だけの変化を示す疾患の診断は難しい。色々な原因でこの形が出る。
( MB derma 162, 70, 2010)
麻疹、伝染性単核球症、薬疹、全部同じ「真皮のみ」のパターンで見分けがつかない。
皮膚生検をしてもほぼ同じ病理組織なのであまり意味がない。
病歴、血液検査、薬歴などで総合的に判断する。
とりあえず「表皮+真皮」、「真皮のみ」の2パターンを理解するだけでもかなりの疾患に対応できる。
その他
「赤くてしこりがある」=「真皮+皮下脂肪組織」のパターンも時々出くわす。結節性紅斑などがこれに当たる。
そこから「表皮のみ」とか「皮下脂肪織のみ」とかの例外のパターンを理解していくと、さらに応用が利くようになる。
絵合わせ診断からの脱却のために必要な考え方だ。
初心者はまず皮疹の表面が「ざらざら」か「つるつる」かを意識して診察してみたらよいと思う。
▼もっと詳しく勉強したい人はこちら▼
▼外用薬について詳しく解説しました▼
コメント