診断力を鍛えるためには多くの症例を経験する必要がある。
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しかし経験する症例には偏りが出る場合がある。
それを埋めることができるのがクイズ形式の教科書である。皮膚科のよいところは教科書でトレーニングができるというところ。
皮膚科には、知っていれば一目でわかる疾患と、色々な鑑別が必要になる疾患の2種類がある。
それぞれについて別の教科書で勉強する必要がある。
- 一問一答症例クイズ形式
- 似た者同士の鑑別クイズ形式
今回は皮膚科の診断トレーニング本を紹介する。
▼前回の記事▼
一問一答クイズ形式
1. 皮膚科医の見る技術
症例数:100症例
Visual dermatologyの特集号を編集したもの。
Snap Diagnosisトレーニング帖とあるように、診断力をつけるためのクイズ形式の本。
表に問題があり、ページの裏に答えと簡単な解説が書いてある。
特に耳介偽嚢腫や外歯瘻、尿膜管遺残症など皮膚科の教科書には書いていない大事な疾患がたくさん載っている。
2. 知っておきたい皮膚疾患
症例数:3冊合わせて112症例
「頭頸部」「体幹」「四肢」の3冊に分かれている。
こちらもVisual dermatologyの特集号を編集したもので、上記の「皮膚科医の診る技術」被る部分も多いが、両方合わせれば必要な疾患はほぼカバーできると思う。
Dupuytren拘縮、アカツキ病、努責性紫斑、Mondor病など知っておきたい疾患が目白押し。
ただ本のサイズが小さいのと、同じページに答えが載っているのが難点ではある。
一冊にまとめて大きな本として出版してほしいと思う。
3. 皮膚科診断トレーニング
症例数:100症例
臨床皮膚科のクイズをまとめたもの。
論文に掲載された症例なのでけっこう難しい。線状IgA水疱性皮膚症とかペラグラとか。
上級者向けの本だと思う。
ペラグラの患者って結構いるんじゃないかなと最近思っている。
4. 日経メディクイズ 皮膚 鑑別診断の基本
症例数:60症例
日経メディカルのクイズをまとめたもの。
体部白癬とか基底細胞癌とか典型的な症例が中心で初心者向け。
写真が若干小さいのが気になる。
似た者同士の鑑別クイズ形式
1. 皮膚科の似たもの同士
症例数:39項目、89症例
症例数は少ないが疾患のチョイスが絶妙で、個人的に気に入っている本。
例えばヘルペスと固定薬疹は見た目がかなり似ている。
しかし教科書のヘルペスの項目を読んでも、診断法とか治療法とかしか載っていない。
でもヘルペスをちゃんと診られるというのは「固定薬疹を鑑別できる」ということだと思う。
鑑別診断の重要なポイントを学べる本。
2. common diseaseから入る皮膚疾患
症例数:23項目、232症例
common diseaseと鑑別すべき疾患を知ってもらうことで、典型例を理解していただけるよう配慮いたしました。
手荒れ、蕁麻疹、蜂窩織炎などのありふれた疾患と鑑別すべき疾患がクイズ形式で学べる本。
3. 皮膚疾患トップ20攻略本
症例数:20項目、115症例
上記の「common diseaseから入る皮膚疾患」と同じコンセプトの本。
一般的に多い20疾患に絞って鑑別クイズが載っている。
こちらの方が解説は詳しいが、「common disease」の方が写真は見やすい。
まとめ
皮膚疾患は全部で2000~3000種類あるそうだ。
皮膚科の難しいところは、学問的に大事な疾患と実際に遭遇する疾患が異なっているところ。
教科書にほとんど書かれていない疾患が、実際には大事だったりする。
そのため一般の教科書が役に立たない場合が多い。
そのギャップを埋めるのがクイズ形式の教科書である。
今も時々見返して勉強している。
今回の記事を書くときも見直してみて勉強になった。
つづく
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