「他の皮膚科に行ったけど治りません」といって転院してくる患者は非常に多い。
皮膚科を受診する患者のほとんどは湿疹である。
そのため湿疹が治らないといってドクターショッピング繰り返している患者も多い。
これを避けるにはどうすればよいかを考えてみる。
▼前回の記事▼
湿疹が治らない理由
湿疹が治らないときは4つの理由があるという。
湿疹が治らない4つの理由
- 診断が間違っている:真菌、酒さ
- 何か原因がある:接触皮膚炎
- 生活習慣・機械的刺激:過度な手洗い、掻きむしるクセ
- 指示通り外用薬を使用していない
(皮膚科の臨床59(10)1517, 2017)
まずは湿疹ではない(①)ということを考える必要がある。
原因が取り除かれていないので治らない(②、③)ということもあるだろう。
しかし自分の経験上、④のきちんと薬を塗っていないことが原因のケースが一番多い気がする。
ドクターショッピングを避ける方法
「湿疹が他の皮膚科で治らない」といって受診する患者。
もう一度仕切りなおして、1週間しっかりと外用してもらうだけで治ってしまう。
きちんと薬を塗っていなかったということだ。
しかしこれは患者を責められない部分もある。
自分で塗ってみると分かるが、軟膏を塗るのはとても面倒だ。
実際外用薬の使用率はとても低いというデータもある。
重症の手湿疹患者の薬剤使用率(内服外用併用)
・内服⇒96%(3週間後)
・外用⇒64%(3週間後)
(J Am Acad Dermatol. 2006; 54(Suppl) : S235-6.)
例えば教授の外来だと、何も言わずに処方だけしたとしても患者が有難がって外用する可能性が高い。
しかし一般皮膚科医が軟膏を処方した場合、患者が真剣に塗ってくれないことが多いはず。
そして「治らない→別の病院へ行こう」となってしまう。
治療効果をきちんと出すためには、軟膏を処方するだけではなくて外用のモチベーションを上げる工夫が大事である。
「処方だけで終わらせない」のがドクターショッピングを避ける手段になるだろう。
それでは具体的にどんな指導を行えばよいのかを考えてみたい。
つづく
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