「医師のためのキャリアデザイン講座」の記事の続き。
前回の内容からは、クリニック開業の適齢は40歳前後と考えられる。
クリニック運営に必要なマネジメント能力の面からもそのあたりがよいそうである。
では他の業界ではどうだろうか。独立に適した年齢についていくつかの本から抜粋してみた。
独立に最適な年齢は?
夢を叶える夢を見た
「夢を叶える夢を見た」は独立した人たちへのインタビュー集。
■幻冬舎の見城徹社長
幻冬舎の見城徹社長はこの本の中で、独立するなら30後半から45歳までがよいと語っている。
「人間にとって30代ほど大切な10年はないって思いますよ。30代をどう過ごすかで、その人の人生は決まってくる。」
「30代前半だとあまりにも経験がないんですよ。自分の才能を知るっていう機会もあまりないだろうし。それから色んな苦労をしたり、負の感情を知るということもそんなに多くないだろうし。」
「だから30代の後半が一番いいかなと。で、リミットは45かな。」
それまでの経験が生きてくるのが40歳からで、独立するのはその頃がよいという。
見城社長が独立した年齢は42歳だそうだ。
■フリーキャスター立花裕人氏
フリーキャスターの立花裕人氏の話。
4年間キャスターを務めた番組が終了した時、当時報道のエースと言われていた人に呼ばれ言われた。
「キャスターをやるんだったら、男は正直いって40からだ。君はまだ30代だから、キャスターとして信頼を得るには若い。まず、みっちりラジオをやれよ。」
やはり「男は40から」。
一流の本質
一流料理人20人へのインタビュー集より。
その道の一流からは、時代や業種を超えて学ぶべきものがある。
とあるが、確かにその通りだと思う。料理人は医者とも通じる部分があって勉強になる。
クリニック開業にも、料理人の独立のエピソードが役立つのではないか。職人としての側面と経営者としての側面の両方を磨かなければならない。
そして料理人も仕事に差がつくのは40代からだという。
20代は技術を学ぶ時期だが、30代は学んだものをどう組み合わせて自分のものにしていくか。
そこでいかに自分を鍛えていくかで40代に差がつく。
麻布かどわき 門脇俊哉
ミシェランで7年連続星を獲得する日本料理職人・門脇俊哉氏が独立したのは40歳の時。
40代で仕事を見直す
会社人生を後悔しない 40代からの仕事術
会社員は40代以降に停滞感を味わうことが多いという。
40代を過ぎると職場で学べることは少なくなる。
漫然と過ごしていると、それが停滞へとつながり社内での居場所がなくなってしまう。
40代を過ぎてくると目の前の仕事をこなすうえでは、新たな学びはほとんど必要なくなってしまいます。
そのため学ぶことをやめてしまいがちです。
しかし目の前の仕事をやってきただけの人は、キャリアを自分でデザインする力はなく、会社にしがみつくことしかできない。
日本の雇用慣行は、システムとして非常に優れている反面、働く人から自走力を奪います。
そのため停滞感を味わっているのに、自ら動き出せないという人が多くいます。
そんなふうに手遅れになってしまう前に新しいキャリアを目指したほうがいいだろう。
未来の働き方を考えよう
社会派ブロガーちきりん氏は、40代で働き方を選びなおすことを勧めている。
ずっと同じ仕事を続けていると飽きてくる。
ちきりん氏は40代で会社を辞め働き方を大きく変えたそうだ。
長らく続けている仕事への飽きという感情です。
仕事は楽しく、やりがいも感じていましたが、40代になる頃には、「この働き方を今後20年も続けるのは、必ずしも自分の望んでいる働き方じゃない」と感じるようになりました。
条件の整った40代が自分に合った仕事を選択するベストタイミングとのこと。
20年くらい働いた後の40代こそ、自分に合う仕事を探せるベストタイミングだと思っているのです。
大事なことは、どんどん伸びる定年まで無思考で今の働き方を続けるのではなく、まだこれからという40代のタイミングで自分の意思を持って次の働き方を設計することです。
まとめ「男は40から」
仕事は40歳からが本番という声が多い。まあその分30代に頑張らないといけないということではあるが。
そしてピークの時期に独立するのがよいというのが定説のようだ。
みんなそれだけの覚悟を持って独立する。
医師の開業はどちらかというと「ドロップアウト後のキャリア」のような印象があり、「ピークの時に開業するのはもったいない」と思われている。
しかしこれからはそうはいかないだろう。クリニック開業は厳しくなる。
開業にピークを持っていくという考え方をしないと成功は難しいんじゃないかと思う。
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