ミステリーベスト10のネタバレ解説シリーズ。
今回は第6位の「斜め屋敷の犯罪」を紹介する。
島田荘司といえば「占星術殺人事件」だが、こちらは「あるマンガ」でトリックを知ってしまったため驚きが半減。
「斜め屋敷の犯罪」の方をベスト10入りさせた。
斜め屋敷の犯罪のあらすじ
あらすじ
北海道の最北端、宗谷岬に斜めに傾いて建つ奇妙な西洋館「流氷館」。この館で奇怪な密室殺人が起きる。
ストーリーにかなり捻りのあった「占星術殺人事件」に比べると非常にシンプルで、洋館で2つの密室殺人が起こるというだけのお話。
典型的な館モノで、ストーリー展開もオーソドックスである。
派手さはなく淡々と進むため、途中でやや退屈になってしまう感がある。
しかしお約束の「読者への挑戦状」の後に明かされる、シンプルかつド派手なトリックのインパクトは絶大だった。
以下ネタバレあり
ネタバレなしの感想はこちら>>絶対読むべきおすすめミステリーランキング10
斜め屋敷の犯罪のネタバレ感想
密室の謎
1つ目の密室殺人の謎にはあまり目新しさはなかった。
上から雪をかけて足跡を消したというトリック。
問題は2つ目の密室殺人のトリックである。
部屋のドアには3重の鍵がかけられ、外との唯一の接点は20cmの換気口。
作中でやたらと換気口について触れられているため、換気口を使ったトリックがあるんだろうということはわかる。
換気口は2m以上の高さにあるため、ハシゴなどが必要。さらに換気口から菊岡を狙うには何らかの道具が必要である。
しかしそれらしい道具は一切見つかっていない。
となると迷路のように入り組んだ館の部屋に何らかの仕掛けがあるのではないかということは予想ができる。隠し通路とか隠し扉とか。
予想は確かに当たってはいるんだけど、トリックの予想外の大掛かりさに衝撃を受けた。
斜め屋敷の謎
トリックの正体は屋敷の上からナイフを滑らせて、室内の菊岡を刺したというもの。
館が傾いている理由はナイフを滑らせるためであった。
確かに見取り図を見ると、上の塔から14号室までは一直線になっている。
部屋ではなく屋敷全体がトリックになっていた!
壮絶なバカトリック。図一つで簡単に理解できる。
こんなに大掛かりなものは初めてだったし、とてもシンプルで感動した。
「斜め屋敷の犯罪」というタイトルは絶妙だなと思う。確かに斜め屋敷による犯罪である。
まとめ
読者への挑戦状で「すべての手がかりは提示された」なんていうのはほとんどギャグで、予想不可能な物理トリックである。
ストーリーがあまり面白くないという欠点はある。
しかし「叙述モノはなるべく除く」という縛りありでミステリーのベスト10を選ぶなら、このトリックは外せないだろう。
逆にトリックよりもストーリーを重視するなら「異邦の騎士」もおすすめである。
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