12月の書評は11冊。
★5が1冊、★4が6冊と超豊作だった。
★★★★★5 年間ベスト級
★★★★☆4 読む価値あり
★★★☆☆3 読んでもムダじゃない
★★☆☆☆2 人を選ぶ本
★☆☆☆☆1 時間の無駄?
▼先月の書評はこちら▼
1.未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる
評価★★★★★5
社会派ブロガーちきりんの本をはじめて読んだ。
万人に響く内容ではないと思うが、今の自分にはかなり刺さる本だった。
今までは嫌な仕事でも60歳まで耐えれば悠々自適な老後が約束されていたが、人生100年時代になり定年は延長されることになった。
嫌な仕事を70歳まで続けるのは難しい。
「LIFE SHIFT」ではマルチステージの人生を設計することが推奨されていたが、この本ではもう少しわかりやすく書かれている。
職業生活を2つに分けて、40代で働き方を選びなおすという人生設計である。
これは仕事のマンネリ化を解消する手段にもなる。
40代が近づき、仕事もマンネリ化しつつある自分にとって、まさにタイムリーな話である。
2013年の本だが、最近話題のFIRE(Financial Independence,Retire Early)のような生き方も紹介されていて、ちきりんの先見の明に驚かされる。
キャリアの転換期にある人にはオススメの本。
2.「自分メディア」はこう作る!
評価★★★★☆4
ちきりんがブログ運営について書いた本。
SEOとかマネタイズとかは全く考えていないそうで、ちきりんのブログは独自ドメインですらない。
将来なにか新しいことをするためのインフラとして、自分が発信できるメディアを育てる。そのために質の高い記事をストックしていくのがブログの目的とのこと。
昔は自分もそんな考えがあったけど、小手先のテクニックばかり追いかけていて忘れてしまっていた。
自分のブログ運営についても見直すきっかけになった。
3.自分のアタマで考えよう
評価★★★★☆4
再び、ちきりんの本。
「考える」ことが大事とよく言われるが、「考える」とはどういうことなのかが徹底的に解説されている。
「考える」とは自分の意見を持つということ。情報収集に時間を使っても考える力はつかない。
情報を集めて分析する作業に熱中して、思考をしていない人が多いと書かれているが、まさに自分のことだった。
情報収集ばかりしていて自分の考えがないんだよなあ。
耳が痛い内容だった。
4.PIXAR
評価★★★★☆4
ピクサーのクリエイティブな側面ではなく、ビジネスの側面について書かれた本。
このストーリーが抜群に面白い。
主人公はスティーブ・ジョブズにヘッドハントされて、ピクサーの経営を任されたローレンス・レビー。他の本にはほとんど出てこないキャラクターである。
当時のピクサーには利益を上げられる事業はなく、長編アニメ「トイ・ストーリー」もまだ未完成。
ピクサーの経営を成り立たせるためには、トイ・ストーリーを大ヒットさせるしかない。しかし仮に大ヒットしたとしてもほとんど利益がでない契約をディズニーと結んでいた、という無理ゲー。
その状態からどうやって今のピクサーを作り上げたのか。そこには綿密に練られた株式上場のシナリオがあった。
5.AI vs 教科書の読めない子どもたち
評価★★★★☆4
この本のテーマは2つある。
一つ目はAIの現状と限界について。
ロボットによる東大受験というプロジェクトから、AIの学習メカニズムがわかりやすく解説されている。
二つ目は読解力について。こちらが本題と思われる。
東大プロジェクトから開発されたテストによって、基本的読解力がない子どもが多いことがわかったそうだ。
Twitterをやっていると実感することである。
筆者はこれを教育の問題にしているが、自分は先天的な問題なんだと思う。
今までは目立ってなかっただけ。
youtubeやインスタが流行っているのも、そのあたりに原因があるのではないか。
それらの層をターゲットにしたビジネスチャンスもあるような気がする。
非常に興味深い内容だった。
6.仮病の見抜きかた
評価★★★★☆4
小説形式という奇抜な医学書「仮病の見抜きかた」。
面白かったので別にレビュー記事を書く予定。
7.フリーランス医師のつくりかた
評価★★★★☆4
フリーランスというカッコいい言葉を使っているが、要するにバイト医である。
医局を辞めてバイト医になるためのマニュアル。
後腐れない医局の辞め方とか、社会保険の切り替えとかかなり具体的に書かれている。
こういう本はたぶん今までなかったと思うので貴重である。
「専門医資格の効力が最も発揮されるのは採用面接を受けるときです」という言葉は結構重要なのではないかと感じる。
バイト医になりたい、でも専門医も取りたくないという人がいるが、リスキーな生き方なのかもしれない。
8.会社人生を後悔しない 40代からの仕事術
評価★★★☆☆3
40~50代向けのビジネス書。
サラリーマンは40代中盤以降に停滞感を感じることが多いという。
昇進をモチベーションに仕事を頑張ってきたが、ポストオフによって役職を外され、こんなはずじゃなかったと悩む。しかしもはや転職や起業もできない。
そんな詰んでしまった人たちが「老害」にならないためのテクニックを紹介した優しい本である。
「年下とうまくやるコツ」や「自分の居場所をつくる方法」など。
こんなものに頼らなくてもいいようなキャリアプランを練っていきたい。
9.働き方の損益分岐点
評価★★★☆☆3
マルクスの資本論をベースに働き方を考えた本。
資本論は共産主義思想の本だと思っていたが、前半では資本主義経済の構造が詳細に分析されているらしい。
資本論の内容がとてもわかりやすく解説されていて、医者がなぜ高給なのに豊かになれないのかもよく理解できる。
ただ結論の部分はパッとしないので、サウザーラジオとともに読むのがおすすめ。
10.屍人荘の殺人
評価★★★☆☆3
やっと読めた4冠王のミステリー。
確かに目新しさ、意外性、本格推理が揃ったハイレベルな作品である。
しかしこのテーマだと、どうしても山口雅也の例の作品と比較してしまう。
あちらが世界観まで作り込んでいたのと比べて、こちらはあくまで舞台装置でしかない。
その点が物足りなく感じてしまった。
例の作品を読んでいなければ文句なしの傑作と言えたと思うけど。
11.やってはいけない不動産投資
評価なし
不動産投資の悪徳業者について解説された本で、業者の悪行の数々が記載されている。
レントロールの改ざんだけにとどまらず、預金通帳の偽造まで行う。
これが業者だけでなく銀行もグルになって行われていたというのが驚きである。
不動産業界に良心はないのか。
不動産投資をしようと思うなら、カモにならないように理論武装しておく必要がある。
コメント