6月の書評は本3冊とマンガ2作品。
★★★★★5 年間ベスト級
★★★★☆4 読む価値あり
★★★☆☆3 読んでもムダじゃない
★★☆☆☆2 人を選ぶ本
★☆☆☆☆1 時間の無駄?
▼先月の書評▼
1.「正義の教室」の書評
評価★★★★★5
難しい哲学の話を、小説形式でここまで興味深く読ませる書籍は他にはないんじゃないか。
飲茶先生は稀代のストリーテラーだと確信した。
わかりやすく解説しただけの本はあるかもしれないが、身近な日常のテーマと絡めたところに凄さがある。
とにかく分かりにくい構造主義、ポスト構造主義についても、「普遍的な正義はあるのか?」という軸で解説されるとスッキリと理解できた。
「14歳からの哲学入門」とかである程度基礎知識を学んだ後だと、このわかりやすさに感動すると思う。
そして賛否両論のラスト。
一面だけでは評価できない物事の複雑性を学んだ後だと、単純に否定はできないんだよな。それを否定する正義は正しいのか・・という。
2.「ピーターの法則」の書評
評価★★★★☆4
階層社会学なる学問の解説書。
真面目なのかジョークなのかよくわからないところが魅力である。
組織人は能力に応じて昇進していき、能力が発揮できなくなった時点で昇進が止まる。つまりこの社会のあらゆるポストは、能力を発揮できなくなった無能な人間で占められている、というのが「ピーターの法則」である。
かなり皮肉めいているんだけど痛快な内容で面白かった。
無能になるのを避けるためには、上司に無能だと思わせために無能を装う必要があるという。これはなかなかシニカルである。
3.「外資系コンサルの知的生産術」
評価★★★☆☆3
コンサルタントのためのノウハウ本。
たくさんのTipsが紹介されていて、色々な物事を分析してレポートを作る仕事では役に立ちそうだ。
ただ、なるほどとは思うが自分にはあまりピンとくるものがなかった。
傑作「ニュータイプの時代」に比べると普遍的な内容ではないかもしれない。
4.「バクマン」の書評
評価★★★★☆4
久々に再読。
少年マンガを読んでた人なら、一度はマンガ家になりたいと思ったことがあるはず。
そんな我々の夢を現実にしたマンガがバクマンである。
週刊少年ジャンプにマンガを持ち込んで、連載になり、人気マンガ家になるまでが描かれる。
クリエイターであれば誰しもがぶち当たる壁「書きたいものを書く」のか、「売れるものを書く」のか問題。
計算して売れるマンガを書こうとする主人公と、天才肌で書きたいものを書くライバルの戦いからは色々と学べるものがある。
ただ作中作があまり面白くなさそうなのが欠点ではある。
5.「ハッピーマニア」の書評
評価★★★☆☆3
安野モヨコの出世作。20年以上前の作品でドラマ化もされている。
ふるえるような恋がしたいOL重田カヨコのラブストーリーだが、バカな主人公に1㎜たりとも共感できなくてイライラするばかり。
でもおそらくそれは確信犯。作者はこの漫画を「人生の反面教師」と書いている。
わかっているけど止められない女性のカルマ(業)みたいなものを描くのがテーマなんだと思う。
大槻ケンヂの小説の女性版みたいなものか(ちょっと違うか・・?)。
コメント