皮膚科の手術は全身を対象にするので多岐にわたる。
どんな手術があって、どんな手術法を習得しなければならないのか分かりにくいが、手術難易度のランキングが論文に掲載されていたので紹介する。
手術難易度ランキング
皮膚外科手術難易度ランキング
H 皮膚腫瘍切除 植皮
G 局所皮弁②(Limberg flap, V-Y flap)
F 局所皮弁①(bi-lobed flap) 男性外陰部手術
E 鼠経リンパ節郭清
D 顔面特殊部位の再建(眼瞼, 口唇, 鼻)
C 腋窩リンパ節郭清 女性外陰部手術 肛門部手術
B 骨盤内リンパ節郭清
A 頸部リンパ節郭清
(臨床皮膚科69(5) 129 2015)
自治医科大学の前川先生による論文。こういう到達目標があると分かりやすい。
骨盤内郭清までやる人はうちの大学にはいないので、Cランクが手術班の到達ラインか。
Aランクまで行ったらもはや何科か分からないけど、そんなすごい先生もいる。
しかし皮膚科の特殊なところは、逆に手術をまったくしない医師もいること。
外科系でそんな科は皮膚科くらいである。
(皮膚科が内科系か外科系かは議論が分かれるところ)
皮膚科における手術の位置づけ
皮膚科では臨床よりも基礎研究が重視されているので、臨床で出世することはできない。
世界的に有名な研究をしている皮膚科医はたくさんいるが、手術もしているというケースは稀だろう。
大学では手術は主に手術班が担当することが多く、教授がメスを握る大学はほとんどないと思う。
手術を専門にしない限り難しい手術のトレーニングをする機会はなかなかないのだ。
自分も簡単な皮弁くらいしかできない低レベルなので、難しい手術は形成外科や大学にお願いする。
でも経営戦略的に手術数を増やさないといけないので、なるべく自分でやらないといけない。
▼病院勤務医の経営戦略▼
市中病院でもまったく手術をしないところから、ハイレベル手術までするところまで大きく分かれるが、最近は市中病院での手術の重要性は増している。
一般皮膚科医の最低到達ラインがどれくらいなのか、全国平均を知りたいところである。
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