若手だけで作られた異色のジブリ作品「海がきこえる」。
マイナーだが結構好きな作品である。
今回のジブリレビューではこの作品について考察してみた。
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海がきこえるのあらすじ
舞台は高知市。
東京からの転校生・武藤里伽子に恋をする、高校生・杜崎拓の物語である。
宮崎作品と比べると演出は抑え気味で展開は淡々としている。
はっきりした告白のシーンがなかったりと煮え切らないのだけど、そこがリアルで味がある。
そしてこの作品は里伽子(りかこ)という女につきる。
武藤里伽子という女
ヒロインの里伽子はあまり魅力的には描かれていない。
物事が思い通りにいかないと露骨に不機嫌になるし、協調性もない。
「ワガママな女に振り回されているだけの作品」とか「なぜ里伽子を好きになるかが分からない」という感想も多い。
でもこういうワガママな女に振り回されているうちに、気になってしまうということは意外とあるんじゃないかと思う。
感情表現が豊かな(起伏が激しい)りかこ
後になって冷静に考えると、なんでそんな女を好きになったのかわからないんだけど。
感情を揺さぶられるのを好意と勘違いしてしまうのか。吊り橋効果に近いのかもしれない。
激しい感情の起伏に振り回されながらも気になってしまうのである。
怒り
喜び
泣く
そんな若いときの反省を踏まえて懐かしい(苦い)気持ちでみることができた。
「感情に流されずに、ちゃんと相手の人間性をみることが大事」ということを人生の教訓としてみてほしい。
2ちゃんねるにはこういう意見があった。
りかこをどう思うかで男としての成熟度がはかれる。
りかこをどう思うかで男としての成熟度をはかれるな。 ウゼエとか面倒な奴とか思ったら女経験の乏しいガキもいいとこ。 大人の男ならああいうのも可愛いもんだと思えるもんだよ。
客観的にみられれば、可愛いとは思わないんだけどね。
しかし恋は盲目である…。
宮崎駿からの批判
この映画は解説本は出ていないが、DVDの特典に制作者と鈴木敏夫のインタビューがついている。
宮崎駿はこの作品の抑え気味な演出が気に入らなかったそう。告白のシーンもないのか、と。
これに対抗して「耳をすませば」が制作されて、最後の「結婚しよう」という告白が生み出されたとのこと。
耳をすませばのレビュー>>『耳すま症候群』の実体験とその後の経過
若手の作品を全力で潰しにいく大人気ない宮崎駿。
でも「常に自分が一番」という気持ちがないと一流クリエーターにはなれないのかもしれない。
次回のジブリレビューはプロデューサーの鈴木敏夫について。
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