【はじめての方へ】>>ブログの紹介とオススメ記事一覧
カテゴリー
     

膠原病教科書の定番「膠原病診療ノート」【皮膚科医のオススメ教科書④】

 

今回紹介するのは、膠原病の教科書では一番有名だと思う「膠原病診療ノート」。

自分が最初に買ったときは第2版だったが、今は第3版になっている。

 

▼前回の記事▼

皮膚病理イラストレイテッド①炎症性疾患【皮膚科医のオススメ教科書③】
皮膚科の伝統として、病理医に頼らず「自分たちで病理診断を行う」というのがある。 だいたい週1回病理カンファレンスがあって、全員で病理所見を確認し診断する。 そのプレゼンをするのは入局したての若手の医師である。 ...

膠原病の教科書について

 

膠原病の考え方や具体的な治療法が詳細に記載されている実例集で、とにかく情報量が多いのが特徴である。

「まえがき」より

病因・病態生理などふつうの教科書と重複することは最小限にした一方、実際的な臨床は網羅的に記そうとした。

考えの過程(根拠)が書いてあるほうが応用がきき、急がば回れで有意義と思う。

 

著者の考えや経験談などもたくさん書かれていて、エビデンスはともかくとして読み物としても面白い。

尊敬するmedtoolz先生(>>臨床で必要なことはすべてmedtoolz先生から学んだ)もこの教科書を薦めている。

膠原病診療ノートの使い方

 

膠原病の治療は皮膚科で行う場合もあるし、膠原病内科で行う場合もある。

 

▼皮膚科での膠原病診療について▼

>>PCPの予防投与について 【医学書評】多発性筋炎・皮膚筋炎治療ガイドライン

 

しかし膠原病を診ない皮膚科医であっても、「膠原病診療ノート」を読む価値がある。

皮膚科医は天疱瘡や薬疹を治療するために、内服ステロイドの使い方を熟知しておかなければならないからである。

 

この本にはステロイドのことも結構詳細に書かれている。

ステロイドの使い方の章(副腎ステロイド:p47~64)を読むのは皮膚科医にとってマストだと思う。

 

皮膚科医が知っておくべきステロイドのこと

 

基礎知識として知っておくべきなのは、ステロイド内服治療のプロトコール。

ステロイド内服治療のプロトコール

・初期量と投与期間

・減量法と維持量

・減量中に再燃したら

 

またその他の知識として、下記のことなども知っておくと治療に奥行きが出る。

ステロイド内服治療の予備知識

・どの投与経路が合理的か(経口、静注)

・分割投与か朝1回投与か

・ステロイドパルスの優位性

・用量と感染症発生率の相関

・感染症のモニターと対応

・退院の目安は

 

例えばステロイドの分割投与について。

他の教科書には意外と書かれていないことも解説されていて勉強になる。

経口ステロイドは1日1回より3分割の方が効果が高い

(血管炎の症状改善率)

  • 15mg×3 / day → 90%
  • 45mg×1 / day → 70%

Ann Intern Med 82(5): 613, 1975

 

皮膚科初心者は、まずこの本の「ステロイドの使い方」の章を熟読することを推奨する。

 

つづく

ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方【皮膚科医のオススメ教科書⑤】
皮膚科医なら基本になるのが外用薬の知識。 外用薬を使う状況は大きく2つに分けられる。 湿疹などの炎症性皮膚疾患 潰瘍などの創傷 それぞれについて、おすすめ教科書を紹介する。 まず今回...

 

▼オススメ教科書のまとめはこちら▼

>>【学生、研修医から専門医まで】厳選!皮膚科のおすすめ教科書15選

 

あわせて読みたい

 

ステロイドの使い方にはもう一つ大切なコツがある。

>>皮膚科医のステロイドの使い方 戦力の逐次投入は愚策である

コメント

タイトルとURLをコピーしました