今回紹介するのは、膠原病の教科書では一番有名だと思う「膠原病診療ノート」。
自分が最初に買ったときは第2版だったが、今は第3版になっている。
▼前回の記事▼
膠原病の教科書について
膠原病の考え方や具体的な治療法が詳細に記載されている実例集で、とにかく情報量が多いのが特徴である。
「まえがき」より
病因・病態生理などふつうの教科書と重複することは最小限にした一方、実際的な臨床は網羅的に記そうとした。
考えの過程(根拠)が書いてあるほうが応用がきき、急がば回れで有意義と思う。
著者の考えや経験談などもたくさん書かれていて、エビデンスはともかくとして読み物としても面白い。
尊敬するmedtoolz先生(>>臨床で必要なことはすべてmedtoolz先生から学んだ)もこの教科書を薦めている。
@Hide_a 「膠原病診療ノート」は、今の時代にあって、「私はこう思う。こうしている」をはっきり書いてあって、あれはすごい勇気であり、矜持だと思うのです。。
— medtoolz (@medtoolz) March 4, 2010
膠原病診療ノートの使い方
しかし膠原病を診ない皮膚科医であっても、「膠原病診療ノート」を読む価値がある。
皮膚科医は天疱瘡や薬疹を治療するために、内服ステロイドの使い方を熟知しておかなければならないからである。
この本にはステロイドのことも結構詳細に書かれている。
ステロイドの使い方の章(副腎ステロイド:p47~64)を読むのは皮膚科医にとってマストだと思う。
皮膚科医が知っておくべきステロイドのこと
基礎知識として知っておくべきなのは、ステロイド内服治療のプロトコール。
ステロイド内服治療のプロトコール
・初期量と投与期間
・減量法と維持量
・減量中に再燃したら
またその他の知識として、下記のことなども知っておくと治療に奥行きが出る。
ステロイド内服治療の予備知識
・どの投与経路が合理的か(経口、静注)
・分割投与か朝1回投与か
・ステロイドパルスの優位性
・用量と感染症発生率の相関
・感染症のモニターと対応
・退院の目安は
例えばステロイドの分割投与について。
他の教科書には意外と書かれていないことも解説されていて勉強になる。
経口ステロイドは1日1回より3分割の方が効果が高い
(血管炎の症状改善率)
- 15mg×3 / day → 90%
- 45mg×1 / day → 70%
Ann Intern Med 82(5): 613, 1975
皮膚科初心者は、まずこの本の「ステロイドの使い方」の章を熟読することを推奨する。
つづく
▼オススメ教科書のまとめはこちら▼
>>【学生、研修医から専門医まで】厳選!皮膚科のおすすめ教科書15選
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ステロイドの使い方にはもう一つ大切なコツがある。
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