2019年の最新インパクトファクターが発表された。
インパクトファクターとは学術雑誌のレベルを測る指標である。
インパクトファクター(impact factor:IF)とは
ある学術雑誌に掲載された論文が、他の論文に平均でどの程度引用されたかを表す指数
「インパクトファクター5以上で一流雑誌」とか「2以下の論文は読むに値しない」とか言われたりするが、数値の高い、低いの目安というのはイマイチ分かりにくい。
そこで今回、impact factorを野球に例えたサイトが面白かったので紹介する。
野球からみるインパクトファクターの目安
Cell/Nature/Science ⇒満塁ホームラン
Cell/Nature/Scienceの姉妹誌 ⇒ホームラン
IF 10以上 ⇒三塁打
IF 6-10 ⇒二塁打
IF 4-6 ⇒安打
IF 3-4 ⇒ 四球
IF 2-3 ⇒エラーで出塁
IF 1-2 ⇒凡打
IF 0-1 ⇒出場機会なし
「学術論文のランクを野球に例えると」より(一部改変)
「IF2以下は価値無し」というのをよく表している。
Cell/Nature/Scienceがホームランというのも異論はないところ。
これらをインパクトファクターの最新ランキング(2019年)から考えてみる。
(IFはジャーナルの評価であって自分の研究の評価ではないけど、あしからず。)
インパクトファクターランキング2018
IF:6以上(二塁打・三塁打)
「二塁打」「三塁打」の長打は歴史があり権威ある総合誌のPNASとEMBO J.。
これらはCNS(Cell、Nature、Science)に次ぐ準一流雑誌。
雑誌 | IF |
EMBO Journal | 11.227 |
PNAS | 9.580 |
IF:4-6(安打)
「安打」は中堅ジャーナル代表の名門誌であるJBC。
雑誌 | IF |
Journal Of Biological Chemistry | 4.010 |
IF:2-4(四球・エラーで出塁)
「四球・エラーで出塁」は論文をなんとか出版したいときにお世話になるFEBS Letters と BBRC (Biochemical and Biophysical Research Communications)。
話題のオープンジャーナルPLoS ONEは当初「安打」だったが徐々に下がって、現在はここに位置している。
雑誌 | IF |
FEBS Letters | 2.675 |
PLoS ONE | 2.776 |
BBRC | 2.705 |
ランキングの総評
ホームランは狙わないと打てないと言われる。
■ホームランの当たり損ねがヒットです(門田博光)
しかし「ホームラン狙いは力みすぎてよくない、まずは安打を狙い長打になれば御の字」という考え方もある。
■ヒットの延長がホームラン(王貞治)
またヒットじゃなくても、四球やエラーで出塁できればチームのためにはなるので、がっかりすることはない(と思って自分を慰めている)。
インパクトファクターの目標値は?
この目安は「研究をやるからには安打を狙いなさい」ということだと思うが、自分の三流大学では
- 出塁しただけでも(IF:2以上)御の字
- 安打が出れば(IF:4以上)パーティー
- 二塁打(IF:6以上)は概ねEditor段階でreject
であった。
皮膚科雑誌のインパクトファクターランキング
二塁打→ Journal of Investigative Dermatology
安打→ British Journal of Dermatology、JAMA Dermatology、Journal of the American Academy of Dermatology
四球→ Journal of Dermatological Science
凡打→ Journal of Dermatology
安打を打つのは思ったよりもずっと難しい。
ちなみに自分の学位論文は四球。
でも苦労したので「10球以上粘って勝ち取った四球」と思いたい。
(大学院時代の思わぬトラブル>>地方の皮膚科医が大学院で学位を取得するまで)
ただ自分の経験上、研究は一度はしてみるべきだと思っている。
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一流研究者には怒られるとかもしれないが、まず「とりあえず打席に立つこと(IF:1以上)」、「あわよくば出塁すること(IF:2以上)」が目標かな。
凡打(IF:1-2)で大喜びしている(私です)ようではダメだろうけど。
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