皮膚科の外来をしていると、「他院で治らない」といって受診する患者が非常に多い。
どういう患者が転院してくるのかを観察していると、一定の法則が見えてきた。
その理由は二つあると思う。
- 自分で症状が見えるから
- 皮膚病は原因が分からないし治らないから
今回はドクターショッピングについて考えてみる。
①自分で症状が見えるから
内科と違って皮膚の疾患というのは自分の目で見える。
治っているかどうかが自分で分かるので、心配になって転院してしまう患者が多いようだ。
そこが皮膚科のシビアなところで、誤診したらすぐにバレてしまう。
ただ治るまでにそれなりの時間がかかる場合もあり、患者がそれを待ちきれずに違う病院を受診してしまうという場合がある。
「昨日別の皮膚科に行って軟膏をもらったけど治らないので来ました」というのも時々聞く台詞である。
さらに中には、きちんと薬の内服や軟膏の外用をできていないのに、治らないと勘違いして転院してしまう患者もいるようだ。
患者の側にも問題はあるが、医師の説明にも問題があると思う。
診断力を磨かなければならないし、きちんと内服、外用してもらうような説明を行うことでドクターショッピングを回避できる可能性がある。
②皮膚病は原因が分からないし治らないから
もう一つの原因。
そもそも皮膚疾患はほとんどが原因不明である。
湿疹(接触皮膚炎)のメカニズムすらもはっきりしていない。そのため根本的な治療法というものがないことが多い。
「色々な皮膚科で別のことを言われる」という人もいるが、そもそも何が正しいかは誰も分かっていないのだ。
何とも悲しいところだが、皮膚科で治る病気は実は少ないのである。
つまり慢性疾患が多いということ。
これは皮膚科に限らず、高血圧や糖尿病なんかも治らないのでずっと薬を飲む必要がある。
でも皮膚病で軟膏をずっと塗らなければならないことには耐えられない人が多い。軟膏を塗るのは大変なのでその気持ちは分かるのだが。
ドクターショッピングしたとしてもほとんど治療は変わらないので、最終的には患者に慢性疾患であることを理解してもらえるかどうかである。
市中病院や大学病院だと「大きい病院に行った」ということで患者は納得しやすい傾向があるだろう。
開業医だと納得してもらえない可能性が高いかもしれない。
皮膚科では同じ診断、同じ処方でも、処方する医師によって治癒率が違っているはずだ。
相性の問題もあり、どう説明しても納得してもらえない場合もあるが、できる限りの工夫をしているつもりである。
▼ドクターショッピングを避けるための工夫▼
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