研修医になって最初につまずいたのが「輸液」と「抗菌薬」だった。
これらは学生のときに全然習っていないので、なにを処方してよいのかまったく分からない。
色々教科書を読んだが、その中のひとつが岩田健太郎先生の著書「抗菌薬の考え方、使い方」。
今回はこの教科書を紹介する。
▼岩田先生についての記事▼
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「抗菌薬の考え方、使い方」の感想
自分が研修医のときはver.2だったが、今はver.3になっている。
口語調で書かれていて、感染症の考え方を学ぶための読み物という位置づけ。
序より
臨床現場で直接役に立ち、それでいてマニュアル本、ハウツウ本にならないよう、相反する条件を模索しながら執筆した。
大学受験の参考書でいうと「実況中継シリーズ」のような感じである(自分が高校生のときに流行っていたが、今もみんな使っているのか?) 。
実況中継シリーズ
予備校などの人気講師の講義をそのまま活字で再現した、語学春秋社の参考書
抗菌薬の開発の歴史や海外での使用状況、命名法などのトリビアも豊富に記載されていて、感染症のマニアにはたまらない一冊である。
トリビアに興味がない自分のような非マニアであっても、「世代ごとではない、セフェム系の分類のしかた」については一読しておいたほうがよいと思う。
同じ第三世代であってもまったく用途が異なるものがある。
セフェム系抗菌薬の分類
- ブドウ球菌、連鎖球菌に使える CEZ
- 肺炎球菌を狙う CTRX
- 嫌気性菌に効く CMZ
- 緑膿菌をたたく CFPM
抗菌薬について体系的にまとめた本ではないので、これ1冊では完結しない。
しかしこれを読んだ上で他の感染症マニュアルなどを読むと理解がかなり深まる。
ただ結構ボリュームがあるので最初の1冊としてはちょっと重いかもしれない。
ある程度の経験を積んで、薄めの本を1冊読破した後くらいに読むのがおすすめ。
読むたびに新たな発見がある。
▼皮膚科医の抗菌薬の使い方をまとめました▼
まとめ
研修医のときは、みんな使う抗菌薬がバラバラでよくわからないと思っていた。
けれど勉強してみると、意外とみんな適当にやっていたというのが分かってくる。
蜂窩織炎にペントシリンを使ったりということが普通に行われていた。
あまりオーベンを信じすぎるのも問題かもしれない。
勉強は自分でしなければならない。
つづく
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