我々独身男性は結婚というものを真剣に考える必要があるが、結婚についてポジティブな話というのはほとんど出てこない。
▼結婚についての記事▼
女性にはメリットがあるが男性に結婚のメリットはほとんど無い、と。
そこでこの本、内田樹の「困難な結婚」である。
帯には「結婚前の人は、したくなる。結婚している人は、気楽になる。そのためにこの本を書きました。」とあり、期待して読んでみた。
結婚しなくちゃいけない理由
なぜ結婚しなくちゃいけないのか。この本に書かれている理由は2つ。
- 大人になるために結婚する
- セーフティネットとしての結婚
①大人になるために結婚する
内田樹氏は、結婚生活で人として成長できたのがよかったとのこと。
結婚は成長するための最良の機会だ、と。
大人になるために結婚する
結婚したあと、僕の「人生の厚み」は増した。
人間て、これほどいろいろなつらいこと、悲しいこと、うれしいこと、頭にくることに遭遇するんだ…ということを骨身にしみて味わいました。
それらの経験のうち無駄なものは一つもない。
つらいこと、悲しいこと、うれしいこと、頭に来ること、って良いこと少なっ…。
それだけつらい経験をすれば人として成長できるのかもしれないが…。
うーん、それが結婚の魅力なのか。
②セーフティネットとしての結婚
また結婚は病気になったときのための安全保障であるという。
セーフティネットとしての結婚
率直に申し上げて、ご自身が「健やか」で「富める」ときは別に結婚なんかしてなくてもいいんです。
結婚しておいてよかったとしみじみと思うのは「病めるとき」と「貧しきとき」です。
結婚というのは、そういう人生の危機を生き延びるための安全保証なんです。
結婚は病気になった時のための「保険」で、結婚生活は「保険料」みたいなものか。
まとめると、「つらい結婚生活に耐えれば人間的に成長し、将来助かる」のが結婚の良さということらしい。
「きついことを経験しないと人はダメになる」と考えるなら、結婚の必然性もあるのかもしれない。
他人とうまく暮らすためのノウハウ
結婚について語る内田樹氏だが、彼は再婚しており離婚歴があるそうだ。
結婚のメリットについての話よりも、失敗の経験から語られる「他人とうまく暮らすためのノウハウ」の方が役に立ちそうだ。
一つは距離感。
結婚生活は愛情と理解の上に構築してはいけないとのこと。
あくまで一定の距離感を保ち、二人の距離をゼロにしようと思ってはいけないらしい。
大事なのは距離なんです。距離感のない人というのが一番困ります。
結婚生活を愛情と理解の上に構築してはならない。
相手が「よくわからない人」だということを前提にして関係を構築していく。
親しき仲にも礼儀あり、ということか。
もう一つは家事の分担。内田樹氏の離婚の原因は家事の分担にかかわる言い争いだったそうだ。
家事の分担は不可能。不毛な言い争いをするより、自分が全部引き受けるくらいの覚悟でいた方がましとのこと。
家事はエンドレスな苦役であって、公平に分担しようとするともめ続けます。
「苦役の分配」のための不毛なネゴシエーションで傷つけ合うより、どちらか一方が全部引き受ける覚悟でいた方がまだましです。
あくまで「まだまし」ではありますけど。
これはなかなか難しそうだ。
まとめ
こう読んでみると、結婚の苦労やつらさが余すことなく語られているように思う。
内田樹氏のこの言葉には含蓄がある。
「今より幸せになるために結婚してはいけません」
最初から期待値が低ければ、変に絶望することもないということか。
結婚という制度は「幸福になるため」の仕掛けではなくて、「リスクヘッジ」なんです。
「どれくらいハッピーになれるか」じゃなくて「どれくらいアンハッピーにならずにいられるか」。
結婚したくなる要素は無かったが、結婚の困難さはよくわかる一冊だった。
もしかすると「結婚したくなる本」というのはミスリードで、本当はピュアな独身者の甘い幻想を打ち砕くための本なのかもしれない。
▼作者の気持ちを例えるならこんな感じ?▼
(幽遊白書16巻より)
次回は結婚映画を紹介。
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