皮膚科の教科書をたくさん紹介しているサイトは少ない。
そこで、このブログで皮膚科のおすすめ教科書について書いていきたいと思う。
「皮膚科医のオススメ教科書」シリーズ第1回目は皮膚科のアトラス。
皮膚科のアトラスについて
皮膚科は見た目で診断するのでアトラス(図版)が重要である。
また診断の時だけではなく患者への説明の時にも使う。
写真を見せて患者に説明すると説得力が増すからだ。
しかし皮膚科のアトラスはたくさんあってどれを買えばよいか迷うことも多い。
自分の経験上、色々な病院に置いてあって一番使われているのが「皮膚病アトラス」である。
皮膚病アトラスの使い方
記載されている疾患は約350種類でかなりの数だ。
皮膚科医はまずこのアトラスに載っている病気を全部覚えなければならない。
『皮膚の病気は何種類あるのか』の記事に書いたように皮膚疾患の種類は2000~3000あるそうだ。
しかし「皮膚病アトラス」の疾患だけでもすべて診断できるようになれば一流の皮膚科医だと思う。
皮膚病はとても種類が多く、自分もまだ出会ったことのない疾患がたくさんある。
とりあえずはアトラスの疾患をすべて経験し、診断できるようになることが目標になる。
ただし「知っている」だけではなくて「診断できる」というところがポイントだと思う。
「知っていること」と「診断できること」の違い
その病気を「知っていること」と「診断できること」との間には壁がある。
知っているだけではなくて、患者の皮膚症状をみて鑑別すべき疾患、必要な検査まで想起できるのが「診断できる」ということである。
そのためにはトレーニングを積む必要がある。
いろいろな本を読むよりも、「皮膚病アトラス」一冊を使いながらひたすら患者を見続けるのがよい思う。
(それでも分からないときは診断推論という考え方に頼ることになる。>>誰も教えてくれなかった診断学【皮膚科医のオススメ教科書⑩】)
ただこの本には診断の仕方とか鑑別とかはあまり書いていないので、疾患についての知識は別に補う必要がある。
研修医とか他科の先生には若干敷居が高いかもしれない。とりあえず買ったとしてもほとんど役に立たないだろう。
使い込んで初めて価値が出てくる玄人向けの教科書である。
使いこなすのは大変だが、皮膚科医の基本となる本であり今でも開く回数は一番多い。
ただしカバーできない範囲もあるので、次の段階として分野別のアトラスも必要になる。
▼分野別のおすすめアトラス▼
つづく
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