医者の研究離れが進んでいるという話はよく聞く。
今回、自分の経験(地方の皮膚科医が大学院で学位を取得するまで)を踏まえながら医学博士のメリット、必要性について考えてみた。
博士号のデメリットとは?
学位は「足の裏の米粒」と例えられる。
- 取っても食えない(生計を立てることができない)
- しかし取っておかないと気が落ち着かない
ということである。
自分は「もっと忙しいメジャー科でも臨床研究両方しているのだから、皮膚科も研究くらいしてないと話にならない」と思って大学院に進学した。
学位(医学博士)は大学で講師以上に出世するためには必要になる。
もし大学で出世していきたいと考えるなら悩む必要はない。大学院へ進学し学位を取得するべきである。
しかし医学博士は日常診療での必要性はまったくない。
昔は学位を取るのが当たり前で、教授が「医局員をタダ働きさせるためのエサ」という側面もあっただろう。
ただ今の時代はそういうわけではない。
『医師のためのキャリアデザイン講座』の記事で書いたように、これからの医師は資産形成を行って経済的独立を目指すべきである。
資産形成の面でも、稼ぎ時の20代後半から30代前半の間に4年間無給になるというのは不利になる。
例えば、30歳から4年間大学院に行けば。
本来であれば、年収1500万×4年間で6000万が入るはずが。
学費50万(国立で)×4年間で200万出て行くんだよ。合計で6200万円。
これを34歳から65歳までで取り戻せないなら、大学院へ行ったことは意味がなかったんだよ。
もし早くお金を稼いで経済的独立、アーリーリタイアを目指すならば、大学院へ進学するのはやめたほうがよい。
ただ学位自体は役に立たないが、研究をした経験は間違いなく臨床で役に立っている。
博士号のメリットとは?
以前の記事(>>【実験がうまくいかない人へ】大学院生におすすめの本3冊)で紹介した本によると
アメリカでは、バイオ系の学位を持った人は問題解決力を買われていて、金融機関やコンサルタント会社に就職するらしい。
博士号の肩書を手に入れ、それをまったく別の業種で活用する価値は十分にある。
主要な金融機関や世界的なコンサルタント企業は、自然科学系の博士号をもつ才能ある人々をたくさん雇用している。
企業のサービス部門は、あなたの大学院での研究内容ではなく、あなたの分析力と問題解決力に関心がある。
学位自体ではなくて、「研究を通して得たスキル」に価値があるとされているということなので、自分の考えもあながち的外れではないはず。
資産形成に不利になる点を度外視すれば、「研究を通して得ることができるスキル」のために学位を取って医学博士になることに損はないと思う。
自分の仕事に直接関係ない経験ほど、いざというときに役に立つということもある。
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では自分の経験上、具体的にどんなメリット・得られたモノがあったのかを考えると以下のものが挙げられる。
- プレゼン力
- 英語で論文を読む力
- 問題解決能力
- 研究に対するコンプレックスがなくなる
詳細については次回の記事で解説する。
つづく
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