進撃の巨人の元ネタになったノベルゲームがある。
それが「マブラヴ」である。
ノベルゲームでは珍しい巨大ロボットモノ。
進撃の巨人は好きなんだけど、これまで「マブラヴ」はスルーしていた。
自分はノベルゲームが苦手で、名作と呼ばれる「かまいたちの夜」や「街」にもイマイチハマれず途中で止めてしまっていたからだ。
(Fate stay nightは苦しみながらなんとかクリアした)
ところが今回プレイしてみて、このゲームにかなりハマったので紹介したい(重大なネタバレは無し)。
マブラヴは1作目の「マブラブ」と2作目の「マブラヴ オルタネイティヴ」で構成されている。
マブラヴの解説
マブラヴには3つのストーリーが存在する。
- エクストラ編(学園ドタバタコメディー)
- アンリミテッド編(エクストラ編の平行世界)
- オルタネイティブ編(アンリミテッド編のループ世界)
①と②が1作目の「マブラヴ」に収録され、③が2作目の「マブラヴ オルタネイティヴ」に収録されている。
是非プレイするべきなのが「マブラヴ オルタネイティヴ」である。
しかしオルタを100%楽しむためには、1作目をプレイしなければならない。
そしてエクストラ編がまったく面白くないのが、このゲームの最大の難点と言えるだろう。
エクストラ編の感想
高校生の主人公・白銀武のユルい学園生活が描かれるのがエクストラ編。
幼馴染の純夏と、引っ越してきた大金持ち冥夜の2人の女子とイチャつくギャルゲーである。
このパートはとにかく苦行でしかない。
ノリもかなりキツイ…。
しかしオルタネイティブ編への伏線がたくさん隠されているのでプレイしないわけにはいかない。
(後から振り返ると、このつまらなさが逆に重要だったりするんだけど)
そしてエクストラ編をクリアしてアンリミテッド編へ突入すると状況は一変する。
プレイ時間は最短で8時間くらい。
アンリミテッド編の感想
ある日、武が目覚めると目の前には朽ち果てた町並みが広がっていた。
そこは異星人「BETA」と戦争中のパラレルワールド。
訓練学校での軍事学園生活が描かれる異世界転生モノがアンリミテッド編である。
(ちなみにマブラヴのジャンルは「超王道学園アドベンチャー」とのこと)
ギャルゲーのヌルいキャラクターたちが、極限状態でどう変化しているのかが興味深い。
イジられキャラの担任の先生は…。
鬼軍曹に!
物腰柔らかな冥夜のメイドは…。
帝国斯衛軍第19独立警備小隊隊長に!(かなり怖い)
エクストラ編では主人公に1ミリも感情移入できなかったが、アンリミテッド編では未知の世界に放り出された主人公とプレイヤーが同じ目線なので感情移入しやすい。
訓練学校の授業でプレイヤーも世界観を学んでいく。
そして多くの謎。
元の世界には存在しなかった謎の少女・霞と、脳髄の入った謎のシリンダー。
しかしアンリミテッド編は、BETAとの本格的な交戦を行うことなくバットエンドで終了する。
数々の謎が明かされることもない。
そしてようやくオルタネイティブ編に突入。
(プレイ時間はエクストラ編とあわせてトータルで16時間くらい)
オルタネイティブ編の感想
オルタネイティブ編はアンリミテッド編のループ世界。
バッドエンドを回避するためにタイムリープして、もう一度同じ世界をやり直す物語である。
アンリミテッド編ではお荷物だった主人公・武も、2周目の世界ではチート状態。
そして武の行動で世界の運命は大きく変わっていく。
人類はBETAとの最終決戦に突入し、すべての伏線が回収される。
このシナリオは圧巻である。
ここでマブラヴオルタネイティブの4つの魅力を紹介する。
①極限状態の戦い
進撃の巨人の元ネタになっただけに、極限状態の戦いの緊張感と圧倒的な絶望感はすごい。
数万単位で襲ってくるBETAの数の暴力。
レーダーは常に真っ赤である。
一体ずつならなんとかなるが、大量のBETAに囲まれたら為す術もない。
この恐怖感は進撃の巨人に受け継がれている。
②作戦
作戦がリアルですごい。
圧倒的な戦力をもつBETAに対して、人類は知恵と技術を尽くして戦う。
ブリーフィングがめちゃくちゃ詳しくて、ワクワクがとまらない。
様々な状況に応じて複数の作戦プランが立てられていて、これなら勝てそうだ…と思うんだけど…。
このあたりは初期の進撃の巨人に受け継がれている(エレベーターで巨人を引きつけるところとか)。
③世界情勢
物語には国際情勢が反映されていて面白い。
国連、アメリカと日本の政治的な問題点などが描かれている。
極限状態になっても人類は一つになれない。
各国は対BETA戦略の違いから対立し、国連内部の勢力も二分されている。
BETAからの領土の奪還を目的とするユーラシアの国々。
一方アメリカは、大量破壊兵器でユーラシア大陸を吹き飛ばす計画を推進したい。
国連内で優位に立ちたいアメリカは、日本に軍事的な介入を行うべく様々な謀略を巡らせている。
さらに日本国内も親米派と反米派で二分されていて…とかなり複雑な物語が展開される。
④設定
本編中ではあまり語られないが、それぞれのロボットには開発史などの詳細な設定が作られている。
純国産機の「不知火」は、日本の技術力を生かした高い性能を持つ機体。
しかし汎用性が乏しいという欠点を持つのが日本軍らしい。
汎用性と量産性をさらに削った「武御雷」は、スペックのみを極限まで追求した日本軍らしい機体。
(こういうのを作ってガラパゴス化していくんだよね日本は…)
一方アメリカ軍の最新鋭機「ラプター」は、対BETA戦よりも対人戦闘に特化している。
BETA戦後の覇権争いまで見越した、合理的なアメリカらしい機体。
こういった裏設定が余すところなく収録された設定資料集は、設定厨にはヨダレものの密度の濃さである。
まとめ
シナリオは右翼臭さ強い部分もあるが、圧倒的ボリュームで異星人との戦いを描き切った名作である。
エクストラ編が苦痛なのが難点だが、過酷なオルタネイティブ編をクリアして、もういちどエクストラ編をプレイすると見かたが変わってくる。
「つまらない日常って大事なんだな」と。
つまらない日常の大切さは、過酷な日常を体験しないとわからないのである。
つまり「つまらない」ことにエクストラ編の価値があるのではないか。
ギャルゲーやノベルゲームが苦手な人も、是非この名作をプレイしてほしい。
(ただ続編がほぼすべてコケているのが問題ではある)
プレステ3版とPSvita版があるが、今プレイするならsteam版がいいだろう。
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