前回のつづき
自分には昔からモノづくりに対する憧れがあった。
そのため、制作の裏話が大好きで、これまでいろいろなクリエイターの本を読んできた。
創作についての本だけでなく、いかに作品を売るかというマーケティングについて書かれた本も興味深い。
ルーチンワーカーの仕事についてから、ますますクリエイターへの関心が強くなっているような気がする。
そこでこれまで読んで面白かったクリエイターの本を、アーティスト編(創作)とプロデューサー編(マーケティング)の2つに分けてまとめたいと思う。
今回はプロデューサー編。
1.ドラゴンクエストへの道
ドラクエ1の制作秘話のマンガ。
当時ゲームといえばアクションゲーム。
RPGは海外のゲームマニアに人気だったが、難しすぎて国内では受け入れられていなかった。
それを人々に受け入れてもらうためにはどうしたらいいのか。どのような工夫が行われたのかを知ることができる。
システム面からストーリー、ビジュアル、マーケティングまで。
売れるためにはこれだけの戦術が必要なのかと唸らされる。
誰もが知っているドラゴンクエストからマーケティング戦略を学べる有用な本である。
2.風に吹かれて
ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫へのインタビュー本。
プロディーサーの仕事は作品の宣伝だと思っていたが、違っていたらしい。
ジブリでは鈴木がアイデアを出して宮崎駿が作るという構図になっているようだ。
鈴木がある程度世の中のニーズに寄せていったからこそ、ジブリ作品はこれだけメジャーになったと言えるのだろう。
またジブリができる前は、宮崎駿のムチャで映画を作る度に会社が潰れてしまっていたそうだ。
しかし鈴木が宮崎の作品を作るための会社ジブリを設立したことで、宮崎は多くの作品を生み出すことができた。
優れた作品を生み出して世間に届けるためには、優れたアーティストと優れたプロデューサーの両方が必要だということが分かる。
3.芸術起業論
5000万円の美少女フィギアを作ったアーティスト村上隆の書籍。
アートという才能のみが重視されるように見える世界で、彼はマーケティングの重要性を説く。
現代アートの世界では、作品の美しさとか独創性よりも、どういう風にプレゼンテーションするかで価値が変わってくるのだという。
学校では「好きなように描きなさい」とか「感じたままを書きなさい」などと教育されるが、それが日本人アーティストが海外で活躍できない理由になっている。
世の中には明文化されていないルールが存在していて、ただ漠然と努力を積み重ねるだけではゴールに到達することはできない。
努力の方向性というのは常に意識していたいと思う。
4.今治タオルの奇跡
ユニクロやGU、TSUTAYAなどのロゴマークを制作した有名なデザイナーである佐藤可士和。
しかし彼はロゴマークをデザインするだけのクリエイターではない。ブランド全体をデザインするのが彼の仕事である。
今治タオルのブランディングを担当したのも佐藤可士和。
今では信じられないが2004年時点での今治タオルの認知率はわずか17.5%だったそうだ。
もともと今治のタオルメーカーは、複雑な模様を織る技術を売りにしていた。
しかし機能面をアピールするため、あえて無地の白タオルを全面に押し出し、今のブランドを確立したのだという。
いいモノを作っていれば売れるわけではない。
いかに良さをアピールしていくか。そのブランディング戦略の詳細が知れる本だった。
5.バクマン
少年マンガを読んでいた人なら、一度はマンガ家になりたいと思ったことがあるはずだ。
そんな我々の夢を現実にしたマンガがバクマンである。
週刊少年ジャンプにマンガを持ち込んで、連載になり、人気マンガになるまでが描かれる。
クリエイターは2種類に分けられる。
作りたいものを作るのか、売れるものを作るのか。その両者の戦いがこのマンガの主題。
計算して売れるマンガを書こうとする主人公と、天才肌で書きたいものを書くライバルの戦いはとても面白いテーマである。
(ただ作中作があまり面白くなさそうなのが欠点ではある)
6.革命のファンファーレ
お笑い芸人キングコングの西野亮廣は今テレビには一切出演せず、クリエイターとして活躍しているそうだ。
そして西野が作った絵本は、なんと40万部を超える大ベストセラーになっている。
どうやってそれだけの部数の絵本を売ったのか。
その秘密は広告戦略にある。
リソースを広告戦略に全振りする新しいクリエイターの姿を、この本から知ることができる。
作品は生み出しただけではダメで、客の手に届いてようやく作品を生んだとカウントされる。
良い作品であれば売れるというわけではない。客の手に届くまでの導線作りも制作の一部である。
まとめ
今回はマーケティングに関わるクリエイターの本を紹介した。
モノづくりに興味があるのに、芸術センスも文才も想像力もない自分は、こうやってちょこちょこブログを書くことで紛らわすしかない。
歯がゆい思いをしているが、いつかは何かしらの作品を世に出してみたいものである。
製作者編はこちら
▼今回紹介した本▼
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