2021年もあと2週間。
今回は今年読んだ本の中からベスト10を紹介する。
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10位:グロテスク
女の生きづらさを描いた小説。
このテーマだと被害者意識全開の作品が多いが、それらとは一線を画してる。
女の醜さや底意地の悪さがねちっこく描写されていて、安易に「私がキツイのは社会のせい」とか「男のせい」とか言わないところに好感が持てる。
エンタメ要素は皆無でリーダビリティーは低いが、迫力はスゴい。
9位:ロジカル不老長寿
勝間和代氏の新刊。
いつもどおり内容は薄いんだけど、「迷惑な高齢者にならない方法」というテーマが刺さる。
つまらない高齢者になってしまうと若い人は近寄ってこない。すると同年代としかつるめなくなって、ますますつまらない高齢者になるという悪循環。
自分は若い人とうまくやる自信があるという人も、会社の上司だから嫌々付き合ってくれている可能性もある。
組織の肩書がなくなったときに、相手をしてもらえるかどうか…。
普段、老害に迷惑をかけられて辟易することも多いが、気づいたら自分が老害になっていた…なんてことがないように気をつけたい。
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8位:結婚願望
今年の10月に亡くなった小説家・山本文緒のエッセイ。
離婚後に書かれたもので、結婚について徹底的に考察した一冊になっている。
彼女は結婚相手探しについて、「一人でも充実して過ごせなければダメで、自分がやりたいことをやっていく過程で自然と巡り合うのが理想的」と述べている。
生涯独身の覚悟はついているが結婚願望は消さない。
このスタンスは結構重要な気がする。
7位:世界を歩いて考えよう
ちきりんの旅行記。
しかし当然ただの観光案内ではない。
様々な国を訪れた経験から考察したことがまとめられていて、密度はかなり濃い。
彼女にとって旅行はお手軽な娯楽ではなくて、様々なことを考えるきっかけを与えてくれるものなんだな。
まさに「自分のアタマで考えよう」で書かれたことが実践された書籍である。
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6位:スマホ脳
ありがちなテクノロジー脅威論かと思ったら、ちょっと違っていた。
進化心理学的にスマホの害が解説されていて、説得力があって面白い。
この本を読んでから枕元にスマホを置くのをやめた。
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5位:精神科医が見つけた3つの幸福
正直、内容は薄いんだけど、脳内物質を切り口として幸福を考えるという着眼点はとてもわかりやすい。
橘玲の「幸福の資本論」の3つの資本(金融資本、人的資本、社会資本)とかリンダ・グラットンの「LIFE SHIFT」の無形資産とかと同じことを言っているんだけど、こちらのほうが直感的に理解しやすいと思う。
今まで読んできた本の内容を総括するうえで役に立つ本だった。
4位:無理ゲー社会
橘玲の新刊。
サンデル教授の「実力も運のうち」と内容がかぶるけど、こちらのほうが簡潔にまとまっている。
特に遺伝ガチャとか知能格差社会とかの言葉選びのセンスが光る。
これを読んだらサンデル教授の本は不要かも。
3位:孤独について
哲学者・中島義道の自伝的な本。
過剰な自意識に苦しめられた過酷な子ども時代の描写は、自分と重なる部分がある。
でも自分はそんなことはもう忘れて過ごしていた。
一方、中島先生は幼少時代の不幸をどこまでも追求することで哲学にたどり着いた。
そのストイックさには驚愕するばかりである。
2位:緘黙
大ファンの精神科医・春日武彦先生の小説。
ストーリーは、3人の精神科が15年間喋らない患者の治療を行うというもの。
精神科医の複雑な心理が、治療を通じて詳細に描かれておりとても面白い。
特にスゴいのは春日先生の言語化能力の高さ。
自分がなんとなく考えていたことをキレイに言語化してもらえる快感にハマってしまう。
こんな小説をいつか書いてみたい。
1位:何者
軽く読める就活小説だけど、これはやられたな。
皮肉屋の主人公が、まわりの就活生を冷静に観察して毒づくのは痛快である。
ところが…。
「最高の仲間!」とか「出会いに感謝!」みたいな薄っぺらな人間を揶揄するのが好きな人は読んでみてほしい。
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