近年は副業ブームである。
有名な投資本「金持ち父さん・貧乏父さん」は、サラリーマンは決してお金持ちになることはできないと述べている。
「給与所得者は給料が上がれば税金も上がる」
「働いた分がそのまま利益になるように、自分自身のビジネスを持つことが重要である」
これは医師であっても例外ではない。
そこで勧められるのが副業のインターネットビジネスである。
SNSを見ると、ネットビジネスで大きく稼ぐ人の姿が目に入る。
さらに初期投資はゼロでリスクも低い。
日給1万8,000円ペース。月収にしたら54万。
1日3時間の作業でこれ。
SNSでセルフブランディングを行い、有料コンテンツ販売やブログのアフィリエイト(広告)で儲ける。
そんな夢を見てネットビジネスへ参入する人も多いだろう。
自分もその一人である。
副収入があれば気持ちの余裕が生まれて、医局に依存しない生き方ができはず…。
しかし夢は脆くも崩れ去る。
得られた収入は月数百円程度である。
そんなネットビジネスの闇を描いたマンガがある。
以前も紹介した「闇金ウシジマくん」である。
今回はこのマンガからネットビジネスについて学ぶ。
インターネットビジネスへの参入
ネットビジネスを扱っているのは30~32巻の「フリーエージェントくん編」。
フリーエージェントくん編の主人公は、日雇いで働く村上仁。
日雇いの自分をみじめに感じている彼は、とあるYoutubeチャンネルを目にする。
「インターネットビジネスなら月収100万円は夢ではない」
(闇金ウシジマくん30巻より)
村上は一念発起で天生塾へ参加。
ネットビジネスの世界へと足を踏み入れることとなった。
天生塾の講義内容は以下の通り。
「サラリーマンの給料は会社に搾取されている」
「副業なら稼いだ分は自分のもの」
(闇金ウシジマくん30巻より)
そして始めるならインターネットビジネス。
ネットビジネスなら経費ゼロ。在庫もリスクもない。
(闇金ウシジマくん30巻より)
こうして村上は無料ブログでインターネットの広告ビジネス(アフィリエイト)を始める。
(闇金ウシジマくん30巻より)
ここまでの経緯は自分とほぼ同じである。
インターネットビジネスの実際
しかしブログを始めてもアクセス数は0が続く。
村上も同様である。
「毎日アクセス数0のだめサイト」
(闇金ウシジマくん30巻より)
そこで勧められるのはブログの体裁を整えること。
そしてSNSでセルフブランディングを行うこと。
自分は高額な有料noteを購入し、SEO対策やSNS運営を行った。
村上も同様の経緯をたどる。
(闇金ウシジマくん30巻より)
独自ドメインを取得しSEO対策を行う。
こうして月間アクセス数が1000を超える。
(闇金ウシジマくん30巻より)
加えてSNSを使ったセルフブランディングも欠かすことができない。
「自分自身をブランディングした者だけが成功するんだ」
(闇金ウシジマくん30巻より)
こうして徐々にアクセス数がアップし、ようやく得られた月数百円の収入。
(闇金ウシジマくん30巻より)
村上の歓喜の姿は自分と被る。
苦労して数百円を得たときの喜びは忘れられない。
インターネットビジネスの限界
しかし数百円を稼いだところで打ち止めである。
SNSを見ると、キラキラしたインフルエンサーの投稿が目に入り、惨めな気分になってしまう。
(闇金ウシジマくん30巻より)
村上の姿はまさに自分そのものである。
才能がある人は、魅力的なコンテンツを作り大きく稼ぐことができるのだろう。
しかしそんな人はごく一握り。
普通の人間は数百円稼ぐのが限度である。
「まず1円稼ぐ。あとはそれを拡大していけば月100万まで伸ばせる。」
という言葉を目にすることは多い。
まずは『個人で1円稼ぐ事』を最初の目標にした方が良い
0と1はまじで違う。1稼げれば、後はそれを拡大していけば月100万まで伸ばせる。
自分も真に受けて月1円→月100万円を目指したが、月1円稼ぐのと月100万円稼ぐのは全く別である。
それでも「月1円稼げばなんとかなる」と言って副業を煽るところに、このビジネスの肝がある。
ビジネスのからくり
ネットビジネスの構造は「つるはしビジネス」と似ているのではないかと思う。
「つるはしビジネス」とは1840年代のアメリカで起こったゴールドラッシュの際に生まれた言葉。
金脈を探し当てて一攫千金を狙う者たちがカリフォルニアに殺到したゴールドラッシュ。
とはいえ大きな金脈を掘り当てて成功した人は、実際にはごくわずか。
しかしゴールドラッシュで大きく儲けた人たちもいた。
それは金を掘る人々につるはしを販売した業者である。
一番儲かるのは、金を掘るのではなく、その人々に対してつるはしを提供すること。
これをつるはしビジネスと呼んでいる。
ネットビジネスも同様である。
広告やコンテンツ販売で稼げる人間はごくわずか。
本当に稼ぐコツはネットビジネスをやることではなく、ネットビジネスのやりかた(つるはし)を売ることである。
このからくりに気づいた村上はWebサイトの運営に見切りをつけ、「Webサイトを作る方法」を販売することで上り詰めていく。
(闇金ウシジマくん31巻より)
まず自分の成功体験を見せつけ副業を煽る。
そして憧れを抱いた連中に高額な情報商材を販売する。という手口である。
(闇金ウシジマくん30巻より)
そして目標は小さな成功。
ネットビジネスで儲ける人に憧れ、小さな成功を目指し参入した自分は、まさにこの手口に引っかかったと言える。
まとめ
ネットビジネスで稼げる人は2種類。
一つは魅力的なコンテンツを作ることのできる才能がある人。
もう一つはネットビジネスのやり方(情報商材)を売る人。
自分は才能のない凡人であり、「つるはしビジネス」の養分になっただけであった。
ネットビジネスを始めたい人は、自分がどのカテゴリーに当てはまる人間なのか、よく考える必要があるだろう。
- 数百円しか稼げない凡人
- 大きく稼げる天才
- 情弱を騙して稼ぐ詐欺師
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