ステロイド外用薬は5つのクラスに分けられている。
症状や部位に応じてクラスを使い分けていくが、クラス内でどういう違いがあるかは教科書にもあまり書かれていない。
皮膚科医になってから「マイザーとアンテベートだとマイザーが強い」「いやアンテベートだ」とか色々な話を聞いたがはっきりしない。
そこで今回は文献(日獨医報38(1) 44-58,1993.)からステロイド外用薬(軟膏)の強さ、副作用のランク一覧表を作成してみた。
※数字は順位
※軟膏のランキング
エビデンスに基づいた高尚なお話ではないので、そのへんはご勘弁を。
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ステロイドの強さ、副作用の順位
かなり古いがステロイド軟膏の強さの順序が詳細に書かれた論文がある。
「ステロイド外用剤の有効性・安全性の順位付け」(日獨医報38(1) 44-58,1993.)
外用薬の比較試験や血管収縮試験、皮膚萎縮試験などの臨床データと、筆者の先生の臨床経験を加味したランキングが紹介されている。
外用薬同士の比較試験は少ないらしく、どうしても臨床経験を加味する必要がでてきたそうだ。
そのためエビデンスとしてはイマイチではあるが、この論文に基づいて表を作成してみた。
ランキングは軟膏によるもので、クリームになると順位が変わるものもあるそうなので注意。
まず論文に書かれている25種類の軟膏の順位を紹介する。
ステロイド外用薬の強さの順番
(比較試験成績、血管収縮試験成績と論文著者の使用経験より)
局所副作用の少なさの順番
(皮膚萎縮試験と臨床試験の局所副作用より)
これらの25種類の中から比較的よく使う15種類をピックアップして表を作成した。
評価値
さらにわかりやすくするために、アルファベットの評価値もつけてみた。(論文に従って自分で作成)
効果の評価値
- A:デルモベート
- B:ジフラール、トプシム、フルメタ、リンデロンDP、アンテベート、マイザー、ブデゾン、ネリゾナ、メサデルム
- C:ビスダーム、パンデル、ボアラ、methylprednisolone aceponate、エクラー、リンデロンV、アドコルチン、リドメックス、フルコート、プロパデルム
- D:ケナコルト、ロコルテン、アルメタ、ロコイド、キンダベート
副作用の評価値
- A:1~5
- B:6~10
- C:11~15
- D:16~20
- E:21~25
以下で順位表をクラスごとに解説する。
ランク一覧表の解説(クラスごとの検討)
ストロンゲストクラスのランク一覧表
外用薬最強はデルモベート。そのぶん副作用も最大である。
ただストロンゲストクラスを使う状況であれば、中途半端に弱いものをつかうメリットはあまりない気がする。
よって副作用覚悟でデルモベート一択か。
ベリーストロングクラスのランク一覧表
一番よく使うクラスのステロイド。
同じクラス内でも最強のトプシムと最弱のパンデルではだいぶ強さが違うだろう。
トプシムは強さがストロンゲストに近く、副作用がジフラールより強いためあまり使う場面はないと思う。
真ん中くらいの強さのマイザー、アンテベートあたりを使うのが妥当か。2つを比べると、アンテベートの方が若干強い分、局所副作用は大きい。
ちなみに日経メディカルのアンケートによると、使用頻度の高いのはマイザー、アンテベート、リンデロンDPらしい。
ベリーストロングクラスの使用頻度
- マイザー 29.0%
- アンテベート 27.6%
- リンデロンDP 25.9%
- ネリゾナ 7.9%
- フルメタ 2.9%
ネリゾナは特徴のある薬で局所副作用がかなり小さいようだ。効果は弱めだが、長期間使用する場合にはよいかもしれない。
またフルメタは効果の強さのわりに局所副作用が小さいので意外と優秀。
ストロングクラスのランク一覧表
あまり選択肢は多くない。よく使われるリンデロンVはミディアムクラスに近い。
ボアラはベーリーストロング寄り。
ミディアムクラスのランク一覧表
ミディアムクラスもだいぶ効果の差がありそうである。
一番弱いのはキンダベート。そのぶん副作用も一番小さい。
リドメックスは効果はストロングに近いが、局所副作用は2番目に小さいのでかなり優秀。
アルメタ、ロコイドは中途半端な印象もある。
まとめ
長年の疑問であったステロイド外用薬の詳細な強さの順序についてまとめてみた。
アルファベットのランク分けはパワプロを参考にした(わからないかな…)。
論文がどこまで正確かは分からないので、あくまで参考程度に見ていただければ。
ただこういう論文もあるということを知っておくことは大切だと思う。
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