ジブリ最大のヒット作、日本歴代興行収入第1位の「千と千尋の神隠し」。
邦画の興行収益ランキング
- 千と千尋の神隠し 308億円
- 君の名は 250億円
- ハウルの動く城 196億円
しかしこの映画は非常に危ういバランスの上に成り立っている。
ジブリレビュー10回目の今回は「千と千尋の神隠し」の魅力と問題点について解説する。
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千と千尋の神隠しの解説
千と千尋の魅力
千と千尋の魅力は何と言っても「世界観」。
千尋の目の前に突然現れた異世界。この不思議な世界観に引き込まれる。
アクションも迫力があって飽きさせない。
千と千尋の問題点は意味不明なストーリー
しかしこの映画の問題はストーリーが破綻していること。
とにかく意味がわからないのである。
脈絡なく突然電車で移動したり、両親を当てるクイズに挑戦したり。
何か深い意味があるのでは?と色々考察されているが、実はあまり意味はなくて、ただ破綻しているだけだと宮崎駿も語っている。
宮崎監督自身も本作のストーリーを振り返り、「自分でも”こんな変な映画があっていいのか?”っていう不安が物凄くあった。起・起・起と進んで突然”結”になってるからね(苦笑)」と支離滅裂な展開を反省しているそうです
宮崎駿は映画を作りながらストーリーを考えるという制作スタイルである。
紅の豚までのような比較的単純な話ならよいが、複雑な話になると破綻してしまうのは必然とも言える。
千と千尋の神隠しの感想・評価
それでも千と千尋は面白く感じる。
その理由の一つはハッピーエンドだなと思えること(意味はわからないが)。
「千尋が異世界に行って無事に戻ってくる」という基本的なストーリーラインは一応外していない。
もう一つの理由は「異世界に迷い込んでしまった千尋の不安感」と「意味不明なストーリー」が絶妙にマッチしているからである。
意味不明で不思議な不安感に襲われる電車のシーン。
海外で評価されたのも「エキゾチックな和の雰囲気」と「破綻したストーリー」がマッチしたからなのではないか。
破綻したシナリオが良い方向に作用した。
千と千尋はそんな危ういバランスの上に成り立ち大ヒットを飛ばした奇跡の映画なんだと思う。
宮崎駿は「もののけ姫」以降、単純な話を作る気がなくなってしまったらしい。
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「カリオストロの城」は典型的な枠の中にピタっとはまるように作ったんです。今もそういうこともできるんですよ。できますけど、それはもうおもしろくないんですよ。
しかし奇跡は一度しか起こらなかった。この制作スタイルでは破綻することは不可避である…。
「ハウルの動く城」へつづく
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