医者としてどんなキャリアを描けばいいのか。
最初はなかなかイメージがつきにくいと思う。
そんな医者のキャリアパスの一つを具体的に解説した本が「若手医師のためのキャリアパス論」である。
「キャリアを成功させるためにはキャリアパスをよく考えるべきだ」と書かれていて、これは正しい主張だと思う。
ただ単に「頑張る」だけでは大きな結果は得られない。
ただ単に「頑張る」だけでは人生に大きな結果は得られません。
自分のキャリアデザインがうまくいったのは早い段階でキャリアパスをよく考えてきたためだと思います。
著者の先生はてんかんセンターで働く小児てんかん専門医。
「全国から難知てんかん患者が集まる専門病院で臨床能力を存分に発揮するとともに、多くの研究業績もあり、多数の講演依頼を受ける小児神経疾患界で有名な存在」とのこと。
そのキャリアは
てんかん専門医取得
↓
てんかんの研究で博士号取得
↓
留学してんかんの研究
↓
てんかんセンターで働く
とステレオタイプの出世コース。
大学院でこれから研究を始めようという人には参考になるはずである。
今回はこの本の内容を紹介する。
大学で出世するためのキャリアパス
この本で大事だと書かれているのは
- Specialistを目指せ
- 肩書きにこだわれ
という2点。
1.Specialistを目指せ
まず大切なのは何かひとつの専門分野を決めて突き詰めること。
それによって「特別な医師」として患者、他の医師から頼られる存在になれる。ついでに出世もできる。
目指すべきは「自分にしかできない特別な能力をもち、その能力が社会に必要とされる」こと。
自己肯定感は爆上がり、承認欲求は満たされまくりである。
小児科のてんかん専門医は日本に250人ほどです。
僕のところには他の病院で治療がうまくいかないてんかんの子どもがたくさんやってきます。
自分だけにしか治せない病気の患者さんがいて、患者さんからも他の医師からも頼りにしていただいていると思うと、とてもやりがいがあります。
逆に言うとジェネラリストでは出世は難しい。
2.肩書きにこだわれ
大きな仕事をするためには肩書きが必要になることが多いそうだ。
立派な先生であっても、他人に認めてもらえないことは多々あります。なぜならそれらの能力は親しい周りの人以外にはよくわからないからです。
悲しいけれど、専門医、博士号、留学経験などのわかりやすい肩書きがあってこそ、人はあなたの能力に興味をもち認めてくれる。
肩書きを得る努力をすることがスペシャリストになるための最短ルート。
若いうちは貪欲に肩書きを得る努力をしましょう。
肩書きがあればさまざまな仕事が舞い込みます。そうすればより大きな仕事ができます。
最低限必要な肩書きは3つだという。
- 専門医
- 学位
- 留学歴
専門医を取り、大学院で研究を行い留学をする。特に留学経験が最強の肩書きになる。
とりあえず留学を目標にするのがわかりやすいキャリアパスである。
海外留学をしたということは、専門分野において日本でもトップ層にいるということです。
海外留学歴は正に最強の肩書きということになります。
また博士号のために研究をすることで副次的に臨床能力も上がるという。
研究をして論文を何度もダメ出しされて手直しをしている間に、自分の論理性を飛躍的に磨くことができます。
大学院を終えて論理性が向上して臨床能力が大幅に改善したことを意識できました。
これには納得できる部分がある。
>>【博士号のメリット・デメリット】今の時代の医師に博士号は必要か?
医者のキャリアパス
学位を取って、論文を書いて、留学する。
最短ルートで出世を目指す人にはとても参考になる本だと思う。
ただし「多くの人に共通する法則」と書かれているが、あくまでもキャリアパスの一つであることに注意が必要である。
若い医師に本当に必要なのは、多くの人に共通する法則を教えられるキャリアパス論です。こういう視点から書かれた医者のキャリアパス論を扱う書籍は本書が初めてだと考えています。
医者の働き方は主に勤務医と開業医の2つに分けられる。
開業せずに勤務医として仕事を続けていくためには、大学で出世するか市中病院の部長になるかのどちらかになる。
医師のキャリアパス
- 大学出世コース
- 市中病院部長コース
- 開業医コース
さらに最近はフリー非常勤や副業医師という亜流のキャリアも登場し、選択肢は増えている。
大学出世コースを「多くの人に共通する法則」と言ってしまうあたり、この先生の考える医者としての成功は視野が狭いと言わざるを得ない。
ただ自分に何が向いているのかは分かりにくい。この本を参考にして出世コースを一度は経験してみるのも手だと思う。
まとめ
この本を愚直に信じることは危ないと思うが、キャリアの一つの選択肢として知っておくことは有用だと思う。
本流を知らないと亜流も分からない。「守・破・離」の考え方である。
その上で自分がどのキャリアパスを選ぶか考えていく必要があるだろう。
新しい亜流の働き方についてはこちら
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