最近話題の本「LIFE SHIFT」。副題は100年時代の人生戦略。
今後人間の寿命が延びて、100年以上生きるのが当たり前の時代が来ると予想されている。
2007年に日本で生まれた子どもの半分は107年以上生きることが予想される。
いまこの文章を読んでいる50歳未満の日本人は100年以上生きる時代「100年ライフ」を過ごすつもりでいたほうがいい。
人生が長くなることによってどういう変化が起きるのか、どういう対応が必要なのかについて書かれていて興味深い。
特に大事になってくるのは結婚のこととお金のこと。
今回は「LIFE SHIFT」の内容をまとめた。
人生100年時代の変化
これまでの人生は「教育→仕事→引退」という3ステージで構成されていた。
そして引退後は現役の時の貯蓄と年金で過ごすのが一般的なライフスタイルであった。
しかし人生が100年になると大きな変化が生じる。
引退後の期間が長くなる上、年金のシステムは破綻。今まで通りのライフプランだと貯蓄が枯渇してしまう可能性が高い。
平均寿命が延びて年金・医療コストが増大すれば、財政はいずれ破綻する。
そのため今後は新たな戦略が必要になる。
それは非常に単純で「2人で働く」ことと「長く働く」ことの2つである。
- 共働き
- 長く働く
1. 2人で働く
最近は専業主婦志向の女性が増えているそうだ。
しかし100年時代を専業主婦の家庭で乗り切ることは難しく、共働きが基本になる。
スキルを持たない専業主婦志向の女性は厳しくなるだろう。
平均寿命が延びれば、夫婦の関係も変わる。夫婦の両方に所得があるほうが家計や貯蓄の面で有利なため、夫婦が二人とも職を持つ家庭が増えるだろう。
そして「夫は仕事、妻は家事育児」という役割分担はなくなり、家事育児の負担の均等化が求められるようになる。
夫婦の両方が職を持つ場合は、綿密な調整を行う必要性が増す。キャリア全体では、家事と育児の負担の均等化がいっそう求められる。
さらに結婚生活が長くなれば離婚のリスクも増す。
100年ライフが訪れれば、パートナーとの関係がますます重要になる。しかし長期間にわたって関係を維持することには困難がともなう。
長寿化には離婚率の上昇につながる面がある。
パートナーとの関係の維持により力を注ぐ必要があり、離婚によって生じるお金の動きについても理解しておくことが望ましい。
人生100年時代は結婚に関しての考えを改める必要があるようだ。
2. 長く働く
もう一つの戦略は長く働くこと。
長く生きるようになれば、より多くのお金が必要だ。老後の生活資金だけを考えても、厳しい現実が浮き彫りになる。そうなると働く年数を増やすしかない。
今後は仕事のステージが20年も長くなる。
これまでは20代までで知識とスキルを身につけて、その貯金で仕事のステージを生き抜くのが一般的なキャリアパスだった。
しかし仕事の期間が60年になると、途中で知識やスキルが枯渇してしまう可能性が高い。
人々の寿命が短かった時代には、20代までで知識とスキルを身につけ、その後は知識とスキルへの再投資をしなくても、キャリアを生き抜けたかもしれない。
しかし80代まで働くようになれば、手持ちの知識に磨きをかけるだけでは最後まで生産性を保てない。
時間を取って、学び直しとスキルの再習得に投資する必要がある。
そこで3ステージの人生に代わって登場するのがマルチステージの人生だ。たとえば生涯に二つ、もしくは三つのキャリアをもつようになる。
今後はより一層キャリアを意識して仕事をしていく必要がある。
人的ネットワークを広げ、さまざまな分野の人たちと関わり、業種を移っても活用できて評価されやすいスキルと評判を身につけなくてはならない。
経済的独立を目指したい
一方で「お金のために一生働かされるのは嫌だ」という気持ちもある。
そこで大事になるのは「経済的独立」の考え方だと思う。
【関連】医師のためのキャリアデザイン講座【経済的独立を考える】
経済的独立
- 働かなくても生きていける立場になること
- 国家にも、会社にも、家族にも依存せず、自由に生きるのに十分な資産を持つこと
やりたくない仕事はしたくない。でも仕事をやめてしまうのはつまらない。
それを解決できるのが「いつでも好きな時にリタイアできる環境」。
経済的余裕があればお金のためではなく、自分のやりがいのために仕事ができる。
長く働かなければならない時代だからこそ、長く働かなくてもよいような資産形成の重要性が増してくると思う。
でも医者は給与は高いがマネーリテラシーが低く、資産を持っていない人が多いそうだ。
嫁は専業主婦。たっぷりと生命保険に加入して、住宅ローンの返済に追われる日々。乗ってる車は高級車、と金遣いも荒ければ資産が貯まるわけがない。
一生働くのが嫌なら、お金についても真剣に学ぶ必要がある。
お金の面で人生の計画を立てるために不可欠なのが金融リテラシーだ。仕事関係の知識と同じように、金融に関する知識も本腰を入れて学ぶべきだ。
早い時期に貯蓄と投資を始めて、リテラシーを高めていくといい。
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