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形成外科診療ガイドライン3【皮膚科医のオススメ教科書⑮】

 

皮膚科医のオススメ教科書シリーズ。

今回は形成外科のガイドラインを紹介する。

 

▼前回の記事▼

外傷処置・小手技の技&Tips【皮膚科医のオススメ教科書⑭】
いままで色々な教科書を読んできたが、手術の本で良いものは少ないような気がする。 手術の技術は基礎的な知識も大切だが、小さなノウハウの積み重ねという部分がある。 枝葉の知識がとても重要である。 そういう知識は...

 

形成外科診療ガイドライン

 

形成外科診療ガイドラインは1~3まであって、皮膚科と関連しそうなのは1と3。

 

  1. 皮膚疾患/頭頸部・顔面疾患/体幹・四肢疾患
  2. 頭蓋顎顔面疾患(先天性・後天性)
  3. 創傷疾患

 

特に3の内容は重要である。

  • 急性創傷
  • 感染創
  • ケロイド・肥厚性瘢痕
  • 慢性創傷

 

慢性創傷に関しては、皮膚科の「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン」にも記載があるため、そちらでも対応はできる。

 

しかし急性創傷、感染創、ケロイドは皮膚科のガイドラインには記載がないが、皮膚科診療の中でも遭遇する頻度は高い。

そこで形成外科診療ガイドライン3の内容の一部を簡単に紹介する。

縫合のゴールデンタイム、汚染創の一期的縫合、予防的抗菌薬などは、一度ガイドラインで知識を整理しておいた方がよいと思う。

 

1. 縫合のゴールデンタイム

 

大学病院の皮膚科では外傷を診ることがまずないため、意外と手薄である。

創の縫合は12時間以内と習った気がするが、汚染がなければ特に時間の制限はないとのこと。

ただし汚染創は6~8時間以内がよいようだ。

切創,裂創では受傷から縫合までの時間が術後創部感染に影響するか?

単純な切創,裂傷であれば,縫合までの時間は術後感染に影響していないと考えられる。(2C)

 

汚染創に一期的縫合は有効か?

受傷後 6~8 時間以内に十分な洗浄・デブリードマンが行われた場合には,一期的縫合が有効である(1B)

 

2. 洗浄に用いるのは

 

生食と水道水では相違はないとのことで、洗浄は水道水で構わない。

気持ち的には生食で洗浄したくなるが。

汚染創に対し水道水による洗浄は有効か?

水道水による洗浄は有効である。(1B)

 

3. 予防的抗菌薬

 

基本的に予防的抗菌薬は不要。動物咬傷では考慮が必要。

最近では一般的になってきた知識である。

汚染のない創に予防的抗生物質投与は有効か?

基礎疾患を伴わない骨や深部組織などの損傷がない単純な創傷では,予防的抗生物質投与によって感染の発生率には差を認めず,有効とはいえない。(2B)

 

動物咬傷に抗生物質の予防的投与は有効か?

予防投与を考慮してもよい。(2B)

 

▼抗菌薬の使い方についてはこちらの記事で▼

>>蜂窩織炎の治療法【皮膚科医の抗菌薬の使い方②】

 

4. 縫合したあとの処置

 

縫合部は濡らしてもよいしガーゼ保護も不要と書かれている。

何も覆わないというのは不安であるが。

一次縫合された創において,術後数日目からシャワー浴などで濡らすことは,創部感染の可能性を高めるのか?

比較的軽度な体表外傷や待機的手術による一次縫合創は,それがきれいと判断される場合には,1 ~ 2 日後には創を開放しシャワー浴などで濡らしてもよいし,その後も特にガーゼなどによる被覆をせずともよい。(2B)

 

まとめ

 

創傷治療は意外と自己流でやっている部分があるので、一度エビデンスを整理しておくことは大切だと思う。

また肥厚性瘢痕の治療についても書かれているので確認しておきたい。

 

つづく

抗菌薬を学ぶための1冊「抗菌薬の考え方、使い方」【皮膚科医のオススメ教科書⑯】
研修医になって最初につまずいたのが「輸液」と「抗菌薬」だった。 これらは学生のときに全然習っていないので、なにを処方してよいのかまったく分からない。 色々教科書を読んだが、その中のひとつが岩田健太郎先生の著書「抗菌薬の考...

 

オススメ教科書のまとめはこちら

>>厳選!皮膚科のおすすめ教科書15選

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