3月の書評は5冊。
今月は豊作だった。
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1. 密室殺人ゲーム王手飛車取り
評価★★★★★5
久々に面白いミステリーを読んだ。
ネットで知り合った5人が、実際に殺人を行うリアル推理ゲームを行うというストーリーで、短編ミステリーのような構成。
歌野晶午といえば「葉桜の季節に君を想うということ」があまりにも名作で有名。
インパクトではさすがに葉桜には劣るが、こちらの方がミステリーらしい。
中にはくだらないトリックもあり油断していると、最後にすごいトリックが出てきて驚かされた。
ラストが中途半端で蛇足という意見もあるようだが、こういう読後感は嫌いではない。
「虚無への供物」が提示した問題に取り組んでいるとも言えるのではないか。
2. 決断=実行
評価★★★★☆4
元中日監督の落合博満の新刊。
野球選手の著書は内容が薄いものが多いけど、落合と桑田の本は情報量が多くて面白い。
落合は現役時代から好きで、引退直後に出した「野球人」は傑作。
今作はいままでの本と内容が被る部分も多いが、細かいエピソードがたくさん書いてあって面白かった。
日本シリーズで完全試合中の山井を交代させたとき、一塁のウッズを守備固めに代えなかった理由など。
また中日監督1年目に言った「戦力を10%底上げして優勝する」の具体的な内容にも触れられている。
普段の仕事にも役立つかもしれない。
3. 開業医やってみたけどダメでした
評価★★★★☆4
開業の失敗談を綴ったキンドル本。
こういう本は他にはないので非常に参考になる。
どうやら失敗の原因は手を広げすぎたこと。
非常勤の専門医を雇い、クリニックに皮膚科、耳鼻科、小児科の外来を作り、土日も診療を行う。
患者は1日200人を超え売上は上がったそうだが、経費が大きく利益は上がらない。
事業の拡大よりもスモール経営が大事だということが確認できた。
部分的に文章に支離滅裂なところもあり、筆者の精神状態が心配な気もする…。
10人診療すれば息切れがして20人超えればクタクタになりますが心地よい疲労ならばまだいいが困惑することも少なくない。
4. 狭小邸宅
評価★★★★☆4
不動産業界の裏側が分かる小説として橘玲氏が推奨していた。
様々な騙しのテクニックがわかりやすく紹介されていて勉強になる。
引き立て役のダミーの物件を見せてから本命を見せる「まわし」、他の客が同じ物件を狙っていると見せかける「かまし」など。
そしてただ業界の闇を描くだけでなく、デキない營業マンであった主人公が優秀になっていく過程も描かれている。
その中で同時に失っていくものもあり、営業という仕事について考えさせられる内容の深い小説だった。
普段は営業の業務とは無縁なため面白かった。
5. 密室殺人ゲーム2.0
評価★★★☆☆3
「密室殺人ゲーム王手飛車取り」が素晴らしかったので続編であるこちらも読んでみた。
前作とほぼ同様の構成なので、インパクトとしては弱い印象。
トリックはよくできているが、前作は超えられなかった。
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