5800万円の値段がついた美少女フィギュアがある。
芸術家、村上隆の作品(Miss Ko2)である。
村上隆
日本の現代美術家。日本のアニメなどのサブカルチャーをベースに敷いたポップな作品が海外で高く評価されている。
「フィギュアになんでこんなに高い値段がつくのか」と疑問に思うが、彼の本を読むとそれが緻密な計算と戦略の成果だということが分かる。
美術の世界で求められること
学校の美術の授業では「自分の好きなように描きなさい」と言われるが、作品は順位づけされている。
実は教えられていない隠れたルールがあって、それに沿って作品を作った人が評価される仕組みになっているということだ。
日本の美術の授業は、ただ「自由に作りなさい」と教えますが、この方針にしても、欧米の現代美術の世界で勝ち抜くためには害になりかねません。
これはプロの芸術の世界でも当てはまることらしい。
なぜ、これまで日本人アーティストは海外で通用しなかったのでしょうか。
単純です。欧米の芸術の世界のルールをふまえていなかったからです。
実は現代美術の世界では、絵のうまさや美しさはあまり求められていないそうだ。
作品のデキよりも作品の「意味づけ」や「ストーリー」による付加価値の方が重要視される。
現代美術で求められるのは、絵の才能などではなく「戦略」です。
欧米では芸術に「色がきれい」的な感動は求められていません。知的な「しかけ」や「ゲーム」を楽しむというのが、芸術に対する基本的な姿勢なのです。
隠れたルールを理解すれば、戦略で売れる作品を生み出すことが可能だという主張である。
ビジネスで言えばマーケティング。
オタク文化をモチーフにした一連の作品は「敗戦や戦後の消費文化によってできた現代日本人の精神の空虚さ」という意味づけをしたそうだ。
作戦通りに、その付加価値が認められ海外で高評価を得た。
技術の先に成功があるのか?
村上隆は絵がうまくなかったため、徹底的に研究して作品を作る方法論を作り出したらしい。
ぼくは絵がうまくないため、欧米における芸術のルール、評価されるためのアートの構造を徹底的に分析しました。
絵が下手であるなら、下手なりにどうすれば勝負できるかと考え、研究や分析を重ねていくことです。それによってハンディは埋められます。
世の中にある見えないルールを見つけるのが、勝ち組になる近道である。
学校では美術でも、自由研究でも、読書感想文でも点数が付くのだから、そこには何らかのルールがあるはずなのに、ルールは教えてもらえない。
ルールにたまたま乗っかった子供は「才能がある」ことになって、ルールを探せなかった子供は「才能がない」ことになってしまう。
そうではなくて「ルールを見つけてから、それに従って努力しないと意味がない」ということをきちんと教えてほしかった。
「好きにやりなさい」ではなくて。
技術や才能よりも戦略が重要。
これは医者の世界でも当てはまる法則だと思う。
「ただ医療技術を追求すれば成功できる」というわけではないということだ。
▼医師の世界の隠れたルール、第3のキャリア▼
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