皮膚科ではちょっとした外傷や小手術など、縫合技術が欠かせない。
しかし小外科処置についてしっかり教えてもらえることは少なかった。
そのため仕方なく独学で勉強する必要があり、色々な教科書を買って勉強した。
今回は今まで買った中から、小外科・小手術のおススメ教科書を紹介する。
1. カラーイラストでみる外科手術の基本
10年以上前の本だが今でも十分現役で使える。
セーレ、鑷子、メスなどの手術器具が豊富なイラストで説明されたわかりやすい教科書。
初心者はまず手術器具の名前や使い方を覚える必要がある。
直セーレと曲セーレの使いわけ、電気メスの原理と使い方とかも解説されていて手術の基本を学ぶには最適。
後半は虫垂炎や胆摘の手術について書かれていて皮膚科医には役に立たないが、前半部分だけでも十分有用。
2. ERでの創処置 縫合・治療のスタンダード
最近翻訳版が出版。
創処置の基本的な考え方がイラストを交えて詳しく解説されている。
持針器の正しい持ち方からステリストリップの貼り方まで、かなり細かい部分まで記載がある。
またエビデンスが豊富で、それぞれの記載の根拠が示されているのが特徴。
紹介されているエビデンスは古めだが、こういう本はなかなかないのでおすすめ。
3. ERの創傷
②の「ERでの創処置 縫合・治療のスタンダード」と似たような内容の本。
雑誌のように作られているので、こちらのほうが通読はしやすいだろう。値段も安い。
好みで②か③を選べばいいと思う。
個人的には、しっかりした作りの②の方が好み。
4. 形成外科診療ガイドライン2
具体的なノウハウは書かれていないが、ガイドラインだけあってエビデンスがはっきりと書かれている。
手技も大事だが、裏付けとなる理屈をしっかり学んでおくのも重要だと思う。
▼詳細はこちらの記事で紹介しています▼
5. 外傷処置・小手技の技&Tips
エビデンスではなく、具体的なノウハウがふんだんに書かれた本。
普通の教科書にはなかなか書かれていないような役立つテクニックがたくさんあるのでおすすめ。
▼詳細はこちらの記事で紹介しています▼
6. 外傷治療「裏」マニュアル
浸潤療法で有名な夏井先生の本。
こちらも具体的なノウハウがたくさん書かれていて、ガーゼを使った縫合の練習法なども勉強になる。
教科書というより読み物のような作りなので通読しやすかった。
独自性が強く(おむつ療法など)賛否が分かれるかもしれないが、こういうやり方もあると知っておくのは良いと思う。
7. ホクロ手術図鑑
主に顔のホクロ手術の症例集で、100以上の手術法が掲載されている。
紡錘形切除だけでなく、くり抜き法や半寄せ、crown excision法などのちょっとしたテクニックを学ぶことができる。
切除のデザインや切開線を決める際の参考になる本。
まとめ
今回は小外科・小手術の教科書を紹介した。
手技は座学と実践の間に大きな溝があり、独学しにくい分野である。
その溝を埋められるような教科書は少なく苦労したので、この記事を参考にしていただければと思う。
しかし皮膚科の手術書に関しては良い教科書がないのが悩みである。
その他のオススメ教科書はこちら
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