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皮膚科医の読書記録2020年3月

 

3月の書評は6冊。

ファミ通レビュー並みに高評価ばかり。

 

★★★★★5 年間ベスト級

★★★★☆4 読む価値あり

★★★☆☆3 読んでもムダじゃない

★★☆☆☆2 人を選ぶ本

★☆☆☆☆1 時間の無駄?

 

▼2月の書評▼

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1. サピエンス全史

評価★★★★★5

まだ読んだことない人がいたのか…と言われそうだが、噂にたがわぬ名著だった。

硬そうな見た目だけど、学術書ではなく歴史エッセイという感じ。

250万年前から現在に至る人類の歴史が、多岐にわたる学問の知識を用いて語られている。

生物学、遺伝学、心理学、宗教学、経済学、さらにはSFまで。

にもかかわらずストーリー性があって読みやすく、とても面白い。

人類を変えた3つの革命、認知革命、農業革命、科学革命。それぞれがいままでの価値観をひっくり返すような内容だった。

知的好奇心が刺激される優れた書籍である。

ただ筆者が一番書きたかったテーマ「これからの人類についての考察」は若干ありきたり感があった。これはすでに過去の優れたSF作品で議論され尽くされている。「攻殻機動隊」とか「銃夢」とか。

 

2. ニュータイプの時代

評価★★★★☆4

「これからの時代に必要な新しい思考様式とは?」という比較的ありきたりなテーマ。そしてその新しい思考も「ビジョンが大事」みたいなありきたりなもの。

でもこの本はスゴイ。

何がすごいのかというと「説得力」。

ニーチェやケインズなどの幅広い学問を駆使して、なぜその思考が必要なのか解説されている。

そのロジックの組み立て方が驚異的で、納得度が高い。

知識をひけらかしているワケではないのに、筆者のとてつもない知識量と論理力、文章力を感じさせるスゴイ本である。

キャリアに悩む人は読んでおくべき。

 

3. 思考の整理術

評価★★★★☆4

数年前に読んだ本だが再読してみた。

もともと名著だと思っていたが、今回さらに評価が高まった。

当時は研究者目線だったが、今はブログをやっているのでコンテンツ制作者の目線で読めて有用性が増した気がする。

コンテンツ制作に使うのが本来の用途なのだろう。記事を書くためのヒントが詰まっている。

ブログを書く人は必読。

 

4. 革命のファンファーレ

評価★★★★☆4

キングコング西野が作った絵本は、なんと40万部を超える大ベストセラーになっているそうだ。

どうやってそんなに絵本を売ったのか、その裏側が詳細に解説されている。

広告戦略が従来のマスメディアを使ったものではないところが面白い。

無料公開や個展の開催、自費購入1万冊など、話題作りを徹底して行う。

さらに絵本の形をインスタにアップしやすい正方形にしたり、ハロウィンに絡ませるために渋谷をモデルにしたり、売るための仕掛けが満載である。

いいものを作れば売れるという時代ではない。アートの世界でもビジネスの視点は重要だろう。

コンテンツ作りをする上での、新しいマーケティング手法について学べる良書だと思う。

 

5. 2030年の世界地図帳

評価★★★☆☆3

落合陽一氏の新しい本ということで期待して読んでみた。

これまでの本は日本に注目した内容だったが、今回は世界に目を向けている。

アメリカに続く新たな勢力、中国、インド。新たなイノベーションが起こるアフリカ。歴史と文化で勝負をかけるヨーロッパ。

世界の情勢がよくわかる本だった。

しかし良くも悪くも社会科の教科書のような内容で、落合陽一らしい切れ味鋭い意見は見受けられなかったのが残念ではある。

 

6. 燃えよ剣

評価★★★☆☆3

普段は歴史小説はあまり読まないんだけど教養のために。

目まぐるしく変わる幕末の戦局は、戦記物としてとても面白い。

しかし土方歳三を通して描かれる司馬遼太郎の組織論についてはどうだろうか。

局長の近藤勇を立てて自分は嫌われ役に徹する。こういうサブリーダーがいることは強い組織の条件なのかもしれない。

しかし「組織には哲学も思想も不要」という土方の信念が、新選組を時代錯誤な戦いへ導き、滅ぼしてしまったともいえる。

組織のために身を捧げるという生き方は、人生100年時代には合わなくなっているんじゃないかな。

 

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