4月の書評は5冊。
★★★★★5 年間ベスト級
★★★★☆4 読む価値あり
★★★☆☆3 読んでもムダじゃない
★★☆☆☆2 人を選ぶ本
★☆☆☆☆1 時間の無駄?
▼3月の書評▼
▼高評価本のまとめ▼
1.「14歳からの哲学入門」の書評
評価★★★★☆4
14歳向けの哲学の解説書かと思いきや、そうではなくて中二病的観点から哲学史を解説するという趣旨の本である。
中世から現代までの哲学史がわかりやすく、かつ面白く描かれていて「哲学の面白さを知ってほしい」という筆者の気持ちが伝わってくる良書。
最近の哲学は経済学と密接に結びついているようだ。特にボードリヤールの「記号消費社会」の概念ついては考えさせられる。
またニートの存在から次世代の哲学について考えるという話もあり、荒唐無稽なようだが「ニートの歩き方」なんかを読むと案外的外れではない気がする。
2.「飲食業界 成功する店 失敗する店」の書評
評価★★★★☆4
飲食店プロデュースを手掛ける著者が飲食店の成功例と失敗例を解説。
この手の本はコンサルタントの宣伝本になりがちだが、結構実用性が高そうだった。
失敗談は成功談より役に立つ。
スタッフの不倫とか売上金を盗むスタッフとか、かなり突っ込んだ失敗談が語られていて勉強になった。
資金調達や収支計画などのお金の面にも触れられていて、これまで読んだ飲食店経営の本の中でもバランスの良い良書だった。
3.「構造と診断 ゼロからの診断学」の書評
評価★★★☆☆3
岩田健太郎先生による診断学のエッセイ。
診断学と哲学の対比がメインテーマ。
これを読んでも診断力が上がるわけではないが、含蓄があって面白い。
確かに認識論の哲学は診断学と通じるところがある。
物自体(病態)は捉えることができず、我々が認識しているのはあくまでも物自体から生じる現象(臨床症状)にすぎない。
14歳からの哲学入門を読んでからだとさらに理解度が増す。
実存主義とか構造主義までいくとわけがわからなくなるだろうけど。
4.「TEAM OF TEAMS」の書評
評価★★★☆☆3
イラクでアルカイダと戦ったアメリカ軍司令官が書いた、組織づくりの本。
同じ内容の繰り返しで悠長な部分も多いが、ビジネスにも応用が利きそうな内容だった。
世界最強のはずだったアメリカ軍は当初手も足も出なかったのだという。
ソーシャルメディアなどのインターネットの発達を背景に出来上がったアルカイダは、階級のない無秩序な組織だった。そのためあらゆる行動のスピードが速い。
軍のような縦割りの組織では意思決定が遅く対応ができなかった。
そこで筆者は組織の形を根本から変えてしまった。
命令遂行能力を重視する組織から、自立型の組織へ。
マネジメントに携わる人は色々と示唆が得られると思う。
5.「プロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学」の書評
評価★★★☆☆3
ラーメン屋を営む元プロレスラーの川田利明が、失敗談を語る本。
やっぱり失敗学というのはとても勉強になる。
客単価、来客数、経費の基本的な計算をしていなかったのが、開店当初の赤字の原因である。
商売の基本ではあるが、クリニック開業でもそんな基本的な計算もできていない人がいるのではないか。
▼高評価本のまとめ▼
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