「ラーメン発見伝」という有名なグルメマンガがある。
ラーメン屋を志すサラリーマン藤本が、様々なラーメン対決を行うマンガである。
人気の要因一つが、ライバルのフードコンサルタント芹沢のダーティーなキャラクター。
露悪的なんだけど、結構真理をついている。
(ラーメン発見伝70話より)
またこのマンガの特筆すべき点は、ラーメンのビジネスの側面も描かれていること。
「飲食店を志す人は必見」とも言われていて、ホリエモンも推奨している。
もしかしたらクリニック開業にも役立つかもしれない。
今回はラーメン発見伝の中から印象的だったエピソードをまとめてみた。
7話:繁盛店のしくみ
芹沢の経営哲学が語られる、有名すぎる名作回。
よいものが認められるとは限らない。
かつては理想のラーメンを追い求めていた芹沢だったが、客がまったく入らず廃業の危機に瀕していた。
自暴自棄になった芹沢は、味を度外視して大衆に媚びたラーメンを制作。それがヒットして店は大繁盛する。
本当にウマいラーメンは大衆には理解できない。
ウマいと思わせるためには、わかりやすい情報が必要である。
ダーティーだけどどんな商売にも共通する一定の真理が含まれていると思う。
かつて手術の技術をウリにして開業した先輩がいたが、果たしてその腕が患者に理解できるのかは疑問であった。
よい医療であれば認められるわけではない。受け入れられるための演出にも注目する必要がある。
22話:コンペ勝負
このマンガのスタンスが明確にわかる回。
ラーメンは味だけではなく、ビジネスとしても成り立たなくてはならない。
このスタンスが、他のグルメマンガと一線を画するところである。
レストランの新メニュー作成のため、芹沢とのしょうゆラーメン勝負に挑む。
味では勝利した藤本だったが、年間を通して材料を確保できないと指摘され敗北する。
これはどんな分野にも言えることなのではないか。
よい医療を提供するという側面だけでなく、経営として成り立つのかも意識する必要があるだろう。
逆に言えば経営として成り立たなければ、どんなによい医療でも提供することができないということでもある。
医療だけがクリニックのすべてではない。
54話:客の心理
ラーメンチェーン店の立ち上げに携わることになったエピソード。
同時期に芹沢も新店舗をオープンした。
ラーメンの味では上回り、店の規模もこちらが上。
負ける要素はないはずだったが、またしても藤本は敗北してしまう。
藤本の店は席数が多すぎたため客を捌くことができなかったのだ。
それに加えて、行列で待つよりも店内で待つほうが不快感を覚えるという逆説。
店内に入れない狭い店のほうが、待ち時間に対する不満が少ないのだという。
ビジネスで重要なのは商品だけではない。店のオペレーションも意識する必要がある。
広くて設備の整ったクリニックが成功するとは限らない。
119話:夢のビジネス
あまり有名なエピソードではないけど、印象に残ったので取り上げてみる。
悪徳コンサルトタントに騙されて、ラーメン屋を開業したお金持ちの話。
コンサルタントはまず、世間知らずな人間をおだててラーメン屋を作らせる。
そこで高い顧問料を取ったり、安い機器を法外な値段で卸したりして儲けるのが、彼らのビジネスモデルである。
ラーメン屋を開業したボンボンは「コンサルタントと結託した不動産屋、内装業者、問屋などから、ありとあらゆるものを高く掴まされ」廃業してしまう。
こんな構図ってクリニック開業でもよく目にするんじゃないだろうか…。
146話:ラーメンで女心を掴め
これはおまけ。
料理評論家・篠崎と、女性客メインのラーメン店のプロデュースで対決するエピソード。
女性向けにおしゃれなヘルシーラーメンを制作した藤本だったが、例によって敗北してしまう。
篠崎が作ったのはヘルシーな見た目のコッテリラーメンだった。
彼によると、女性が本当に求めているのはコッテリラーメンなのだという。
しかし外見だけは、おしゃれなヘルシーラーメン風であってほしい。
そんな女性の本音と建前を描き出した神回。
「女心とは屈折した心理」。なかなか含蓄のある話だった。
まとめ
ただラーメンのウンチク8割、ビジネス2割くらいなので、ラーメンのウンチクにあまり興味がない自分には悠長に感じられる部分もあった。
でもビジネス編はムチャクチャ面白くて勉強になるのでぜひ読んでほしい。
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