Youtubeで公開している「動画で学ぶ皮膚疾患」は、教科書にはあまり書かれていない診療のポイントを、約10分で解説する初心者向けの動画コンテンツです。
動画で使用しているスライドを解説付きで公開します。
今回は帯状疱疹の診断と治療についてです。
帯状疱疹の診断
まず帯状疱疹の経過について説明します。
まず痛みが先行し、その後に紅斑が出現、最後に水疱を形成します。
水疱が出現した状態では、見た目だけで診断が可能です。
わかりにくい症例では、水疱液を用いて、細胞診や診断キットを使用することもできます。
しかし痛みだけの時期や紅斑だけの時期に診断するのは、とても難しいです。
疑わしい症例では1~2日経過を見ることが重要です。
帯状疱疹の治療
帯状疱疹の治療は2つに分けられます。
1つはウイルスに対する治療。もう1つは痛みに対する治療です。
1.1 ウイルスに対する治療
抗ウイルス薬には外用薬、内服薬、注射薬があります。
帯状疱疹で使用されるのは内服薬と注射薬です。
基本的に内服薬を使用しますが、注射薬の使用が勧められるのは以下のような場合です。
帯状疱疹は様々な合併症を起こします。
これらを併発した場合は注射薬の適応となります。
特に角膜炎と顔面神経麻痺に注意してください。
1.2 抗ウイルス薬の注意点
また抗ウイルス薬には2つの注意点があります。
1つは腎障害からの神経毒性です。
腎機能が低下した高齢者に常用量を使用し、さらにNSAIDsも併用することで腎障害を起こすことがあります。
その場合は神経毒性から意識障害となって、救急搬送となります。
抗ウイルス薬には腎排泄のものと、胆汁排泄のものがあります。
高齢者では胆汁排泄のアメナメビルを使用するほうがよいかもしれません。
もう1つの注意点は効果発現までの期間です。
効果発現まで時間がかかるため、数日間は症状が進行します。
これを説明しておかなければ、薬のせいで悪化したと患者が勘違いしてしまいます。
2 痛みの治療
次に痛みの治療についてです。
帯状疱疹の痛みには2種類があります。
それぞれ治療薬が違うので注意が必要です。
初期の痛みは侵害受容性疼痛なので消炎鎮痛薬が効き、リリカなどは効果がありません。
一方慢性期の痛みは神経障害性疼痛で消炎鎮痛薬は効果がありません。
よく初期にリリカなどが投与されている場合がありますが、効果には疑問が残ります。
まとめ
次回は「湿疹」について
つづく
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